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愛媛出版文化賞 受賞者に聞く

<3>部門賞/第3部門 文学 「永き遠足」(創風社出版) 泉原猛著

2018年1月8日(月)(愛媛新聞)

「本を出すというのは、長い手紙を読者に出すということ。その特権を得たのが一番うれしかった」と語る泉原猛さん

「本を出すというのは、長い手紙を読者に出すということ。その特権を得たのが一番うれしかった」と語る泉原猛さん

【自身の中学時代舞台 文芸生活20年の集大成】

 旧東宇和郡土居村(現西予市)で過ごした中学時代の自伝的小説「永き遠足」で第3部門の部門賞に輝いた泉原猛さん(82)。約20年の文芸生活の集大成として出版した作品で、「まさかという気持ち。初めて出した小説が認めてもらえ幸運だった」と喜ぶ。

 1994年に文芸同人誌「原点」(松山市)に入会し、作品を発表してきた。2015年秋に同郷の友人の死去を知り、「年を取るとどうなるか分からない。自分がこの世に何か残すとしたら、昔のことや友人が出てくる作品」と「終活の一環」として、原点に発表した作品を本にまとめることを決意。短編集「墓場の薔薇(しょうび)」と同時出版した。

 「永き遠足」は1950年ごろの旧土居村をモチーフにした長編で、少年少女の自然との関わりや生活を細部まで色あせない筆致で描く。泉原さんは「長編の舞台を考えた時、材料と訴えたいことがある中学生時代に行き着いた」という。

 60代後半の執筆だったが、「今のことよりはるかによく覚えていた。社会的にもいろんな経験をしたし、当時は分からなかった友人の特徴が客観的に見えた」と振り返る。この頃が、自らの人格形成の基盤になったと改めて感じたという。

 書籍化に当たり、約1年かけて発表時の文章を大幅に手直しした。物語の終着点も変更したため、本来の伏線部分を削るのにも神経を使ったという。

 原点は2015年2月に終刊した。「時間がいくらあっても足りないくらい真剣に議論を交わすのが同人誌の良さ。一人だときっと書けなかった」と感謝。「本を出版するというのは、自分の思いを書いた長い長い手紙を、見ず知らずの人も含めた読者に出すということ。その特権を得たのが一番うれしかった」と笑顔をみせた。

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