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陸上「軽量化」の陰で 女子アスリートと健康

<下>指導者 勝利と育成の両立 課題

2020年3月29日(日)(愛媛新聞)

勝利至上主義は時に指導をエスカレートさせる(写真と記事は直接関係ありません)

勝利至上主義は時に指導をエスカレートさせる(写真と記事は直接関係ありません)

 陸上の長距離種目で近年、若い年代を中心に貧血治療用の鉄剤注射が競技力向上のために用いられ、社会問題となった。レースに有利な軽量化も同様に、深刻な健康被害を招く危険性をはらんでいる。教育現場の指導者はどう考えているのか。

 県内の男性指導者は、思春期の無月経や食事制限による心身のダメージを考慮しつつも軽量化の効力を認め、「きれいごとだけでやっている指導者はそういない。鉄剤注射は論外だが、医学的に見れば、すれすれのところで勝負している部分はある」と語る。

 日本のスポーツ指導は小学校から大学まで部活動が中心。各年代で指導者は変わり、長期的展望に立った育成は難しい面がある。「好記録が出ないと進学や実業団に進むことが難しくなる。結果を出している指導者でなければ、選手が希望する進路先も話を聞いてくれない」

 保護者ら周囲の期待が重圧になることも。別の男性指導者は「結果がいい時期は神様のように扱われるが、そうでなければ批判される」と悩ましげだ。「勝つことで選手の人生に誇りを持てるようにしたい思いはあるし、体重が重すぎるとけがをしてしまうなど安全面を含め競技特性に合った体形や体重がある。教育的配慮と競技上の配慮のバランスが一番大切だ」と指摘する。

 「成長期に減量や体づくりを完成させてしまい、伸び悩むケースが多い印象」と最近の選手の傾向を話すのは実業団の監督だ。「前のステージでピークを迎えているので勧誘する側としても魅力を感じにくい。進路先でも伸びるような育成を」と求める。

 2000年シドニー五輪女子マラソン金メダリストの高橋尚子さんを学生時代に指導した大阪学院大の山内武教授(スポーツトレーニング)は「勝たせることだけを志向する職人タイプもおり、評価される風潮がある」と述べ、学会や講習会などで絶えず最新の指導や科学的な知識を取り入れるのが望ましい指導者像と位置付ける。

 行き過ぎた勝利至上主義はエスカレートした指導につながる。鉄剤注射を巡っては、日本陸連は昨年5月、不適切な使用を防止するガイドラインを策定した。軽量化にも一定の歯止めがかけられないか。

 山内教授は「陸連などが指針を出すべきだ」と主張。月経の有無や骨密度などが一定基準に満たない選手は大会出場よりも治療に専念させるよう、各大会でのレギュレーション(規制)を見直す必要があると提言している。

 

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