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2020
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Eのさかな バックナンバー 2号

土井中照の愛媛おサカナ順礼 <2>あの顔で幽玄に入る鱧の味

2020年8月10日(月)(その他)

「Eのさかな」は愛媛県の魚を中心に食・自然・観光などの文化を全国に紹介していきます。

 

徳島県阿南市「阿波橘海産」のあなん丼

徳島県阿南市「阿波橘海産」のあなん丼

徳島県阿南市「阿波橘海産」のあなん丼

徳島県阿南市「阿波橘海産」のあなん丼

 鱧は、生命力の強い魚としても知られている。長時間、水から揚げておいても生きているほど生命力が強く、瀬戸内海で獲れた鱧が、京都までの長旅に耐えて生きているので、夏の時期の京都では鮮魚として重宝した。また、古くから鰻(うなぎ)と並んで精力増強の魚でもあった。

 小骨が多いので、骨切りの技術が必要となるが、京都の料理人は専用の鱧包丁を駆使して鱧の皮に当たるまで身に切り込みを入れていく。鱧包丁は、重ねが厚く、身幅があってずっしり重い。身一寸(3.3㎝)につき20回以上の包丁を入れるが、これでやっと「鱧落とし」のひと切れなのである。切り分けた鱧の身を湯につけると、切り目が鮮やかに開いたところで冷水に落とし、椀に盛りつける。

 関東で鱧が好まれないのは、細かな技術が必要なことに理由があるのかもしれない。料理技術の乏しい地域では、鱧はすりつぶして高級カマボコの材料となる。

 北大路魯山人(ろさんじん)は『鱧・穴子・鰻の茶漬け』というエッセイで「茶漬けの中でも、もっとも美味いもののひとつに、鱧の茶漬けがある」と書き、「焼いた鱧を熱飯の上に載せ、箸で圧し潰すようにして、飯になじませる。そして、適宜に醤油をかけ、玉露か煎茶を充分にかけ、ちょっと蓋をする。こうして、一分間ばかり蒸らし、箸で肉をくずしつつ食べる」と紹介、「鱧は小味ないい脂肪があるために、味が濃くなく、舌ざわりがすこぶるいい」と褒めている。

 

鱧料理のバリエーションと味わい。「魚」に「豊」をつけた理由がよくわかる

鱧料理のバリエーションと味わい。「魚」に「豊」をつけた理由がよくわかる

鱧料理のバリエーションと味わい。「魚」に「豊」をつけた理由がよくわかる

鱧料理のバリエーションと味わい。「魚」に「豊」をつけた理由がよくわかる

 近年、鱧はまちおこしの料理に使われることもある。わが愛媛県でいえば八幡浜市が鱧の聖地である。八幡浜漁港は、鱧の取扱量が日本一ということもあり、道の駅「八幡浜みなっと」にある「アゴラマルシェ」のフードコートでは「鱧かつ丼」「鱧の照り焼き丼」などの鱧料理が楽しめる。

 「あの声で蜥蜴(とかげ)喰らうか時鳥(ほととぎす)」とは逆に、獰猛な姿とは裏腹に繊細で優美な味を楽しませてくれる鱧。まさに、鱧は見かけによらないのである。

 

 「Eのさかな」は「さかな文化」を代表とする愛媛の食・暮らし・自然・文化などを取り上げ、分かりやすく情報を発信するフリーペーパーです。

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