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球児はつらつ 熱気不変

高校野球県夏季大会振り返る 記者座談会 8月日程 厳しさ/南予勢活躍目立つ

2020年8月15日(土)(愛媛新聞)

炎天下で2回戦を突破し校歌を響かせるナイン=2日、マドンナスタジアム

炎天下で2回戦を突破し校歌を響かせるナイン=2日、マドンナスタジアム

 松山聖陵の優勝で9日に幕を閉じた高校野球の県夏季大会。新型コロナウイルスの影響で過去に例のないプロセスをたどった球児の夏を取材した愛媛新聞記者が語り合った。

 

■開催の意義

 長尾翼(スポーツ・映像報道部=以下スポ映) 甲子園につながらない大会で、選手のモチベーションが気掛かりだった。それでも開幕すれば、球児のはつらつとしたプレーに魅了された。勝てば笑顔で校歌斉唱し、敗れれば悔し涙を流すなど例年通りの熱気に包まれた。初戦敗退した3年生は「代替大会がないと、どこにもぶつけられずに終わっていた。大会があってよかった」と目を赤くして答えてくれた。

 宮内佑己(スポ映) 前例のない中で大会を運営した県高野連や関係者には、お疲れさまでしたと言いたい。甲子園はないけれど最後までやりきろうと純粋にプレーした球児自身が大会を意義深いものにした。

 清家康尊(スポ映) 愛媛の頂点の先がないという点では特別な大会だったかもしれないが、目の前の一試合一試合を切り取れば、例年と変わらぬ夏だったのではないか。

 和田亮(報道部) 敗れたチームの多くの3年生がどこかすっきりしたようなすがすがしい表情をしていた。例年は試合後すぐに取材ができるため、涙を流す姿を目にすることも多いが、球場外での取材となった今大会は、気持ちを落ち着かせる時間があったのかもしれない。ただ、社会情勢に振り回され、多くの選手が既に泣いていたのではないかとも思いを巡らせた。

 石川美咲(スポ映) 大学受験に専念するために出場を諦めた学校からは「8月という日程は正直厳しい」という声を聞いた。参加校の中にも、悩んだ末に引退を決めた3年生部員もいるはずで、複雑な思いを抱いた。

 

■上位チーム

 和泉太(スポ映) 松山聖陵の優勝は選手層の厚さがものをいった。中でも投手陣。エースが投げたイニングは12回⅔にとどまる。

 宮内 投球数制限が導入された今夏、先発投手が背番号1のいわゆるエースでない試合も多く、ルール変更で戦い方も変わり始めた印象を受けた。

 清家 南予勢は宇和島東が準優勝し、帝京第五が準決勝進出。夏の大会としては、ベスト4に南予勢が2校残るのは1996年の両校以来24年ぶりで、印象的な活躍だった。宇和島東は3度の逆転勝ちを演じ勝負強さを発揮。4強のうち3校を私立校が占める中、公立校として2年連続の決勝進出は見事だった。

 

■新型コロナ

 和泉 県高野連は大会開催に当たり、新型コロナ感染防止へ外部の専門家に協力を仰いだ。専門家は使用する6球場全てを視察し、接触を最小限にするためのチームの動線の在り方などを調査した。各校の野球部長が参加する研修会では、試合後のベンチ消毒の方法などを実演。県高野連はできる限りの手を打ったという印象だ。

 門屋駿介(八幡浜編集部) 試合の開始、終了の整列や校歌斉唱では、審判が選手たちに間隔を広げるよう促していた。一方、ゲーム中は得点時のハイタッチなど通常通りの接触あり、密集あり。ゲームの性質上仕方ないと思うが、それなら整列時だけソーシャルディスタンス(社会的距離)を保つような必要はなかったのではと感じる。

 清家 感染対策はもちろん考えないといけないが、チームスポーツにおいて声を出したり、仲間と感情を共有したりするのは自然なことだ。

 

■熱中症予防

 高橋圭太(スポ映) 8月開催となり、期間中は非常に暑い日が続いた。開幕前のチーム取材では、複数の指導者が「練習時間が少なく、暑い中で野球をやれていない」と不安視していた。だが、実際に試合を見た限り、意外にも暑さの面で大きな問題を感じることはなかった。三回と七回終了時に設けられた給水タイムの効果か、あるいは指導者や選手自身が特別な対策を練っていたのか。要因を分析し、来年以降に生かせる取り組みができないか。

 和泉 この春に解禁された白色のスパイクシューズを導入したチームがあった。大手メーカーの調査では炎天下で黒と白のスパイクの内部温度を比較したところ、白の方が最大で約10度低かったという。

 樋口和至(スポ映) 大会初日は6球場で1回戦18試合、第2日は1、2回戦16試合を消化した。近年、1日にこれほどの試合数を行ったことはないのでは。スタッフや審判の体調などに影響はなかったのだろうか。検証して今後の運営に生かしてほしい。

 

■新時代模索

 門屋 選手の丸刈りをやめたチームも多く目に留まった。

 和泉 高校野球の象徴の一つが丸刈りではないか。済美が今年に入り、これをやめた。甲子園の実績豊富な強豪では珍しい。夏の甲子園大会が2年前に100回の節目を迎え、済美の監督には新たな高校野球の形を模索する考えがあったようだ。済美は準決勝で姿を消したが、監督は「やってよかった」と総括した。髪形などは個人が自由に決めるべきもの。各校でも立ち止まって考える契機になればと思う。

 高橋 今大会は夏におなじみの生徒参加の大応援はなかった。「寂しい」という保護者の声は聞いたが、個人的には野球本来の音、また選手やベンチの声が聞こえるのはいいものと感じた。試合は例年と変わらず白熱していたし、競技の魅力を低減させるわけではないことも明白だった。批判の声もある「全校応援」を見直すきっかけにしてはどうか。熱中症搬送者も減ることだろう。

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