地震から園児守りたい
四国中央・土砂警戒区域の保育園 専門家招き防災講習会
2020年11月1日(日)(愛媛新聞)
【救護や避難対応確認】
南海トラフ巨大地震が起きたとき、土砂災害警戒区域内の保育施設はどう対処するべきか。四国中央市土居町上野のアンジェリーナ保育園でこのほど、保育士10人が防災専門家の講習を受けた。インフラが機能不全に陥り、負傷者発生などの問題が続出する状況で、感染症対策もしながら子どもたちをいかに守るか。さまざまな課題に向き合った。
講習は10月19日にあり、元自衛官らが立ち上げた一般社団法人「日本災害救助支援機構」(松山市)代表理事で、阪神大震災・東日本大震災・西日本豪雨の被災地などへの災害派遣経験がある高須賀顕さん(47)が担当した。
事業継続計画(BCP)の模擬訓練では長雨と、早朝保育中の午前7時50分に発生した震度7の地震を想定。防災担当の保育士が3班に分かれて図上で対応を考えた。
転倒や割れた窓ガラスなどで園児・保護者が負傷▽停電・通信遮断・断水が立て続けに起こる▽土砂災害の危険性が高まる▽子どもたちがパニックになる―などの状況を念頭に、参加者は安否確認や救護、避難判断などの対応を矢継ぎ早に決めた。
近くにある松山自動車道など外部から来た避難者の中に新型コロナウイルス感染拡大地域からの移動者や発熱のある人がいた場合に備え、検温や隔離も協議した。
園の南約340メートルの砂防ダムや、高速道の構造物など周辺環境も確認。感染防止策などの講義もあった。
園は今後BCPを策定する方針。防災担当リーダーの堀内莉奈さん(34)は「男性職員がおらず女性だけで対応することになる。時間帯で保育士の人数も違う。新型コロナ対応も含めると課題は多い」として、詳細な検討が必要との考えを示した。
主任保育士の大西亜紀さん(41)は「子ども対応は園内で意識統一できているが、外部からの受け入れ想定が甘かった。子どもの安全最優先という前提の上で想定幅を広げたい」と話した。
同園は数年前から防災担当チームを設け、講習への参加や避難マニュアルの策定といった取り組みに力を入れている。22日には園児と職員が参加する避難訓練を実施した。