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愛媛出版文化賞 受賞者に聞く

<1>部門賞/第1部門 研究・評論 「四国遍路の世界」(ちくま新書) 愛媛大学四国遍路・世界の巡礼研究センター編

2021年1月12日(火)(愛媛新聞)

「四国遍路に興味を持ってもらうことで世界遺産の活動が盛り上がってくれたら」と願う四国遍路・世界の巡礼研究センター長の胡光さん

「四国遍路に興味を持ってもらうことで世界遺産の活動が盛り上がってくれたら」と願う四国遍路・世界の巡礼研究センター長の胡光さん

 第36回愛媛出版文化賞(公益信託愛媛出版文化賞基金、愛媛新聞社主催)の受賞作品が決まった。部門賞4、奨励賞5点。各作者に執筆の動機や作品に込めた思いを聞いた。

 

【一般向け 平易に紹介 変遷や他国巡礼と比較】

 時を超えて多くの人々に親しまれている四国遍路。悠久の時間の中で育まれて定着した文化だが、学術的研究が進んだのはここ20年くらいのことだ。

 2000年ごろ、愛媛大法文学部の研究者らが「四国遍路と世界の巡礼」をテーマに共同研究を始めたのが契機となった。その後、四国遍路の世界遺産登録へ機運が高まったこともあり研究は飛躍的に進む。15年には同学部に四国遍路・世界の巡礼研究センターが発足。センターは19年に学部から独立し、四国遍路研究の中心的役割を担う。

 センター内外の研究者15人が、近年の蓄積を一般向けに分かりやすく紹介しているのが本書だ。歴史、民俗学、文学、宗教学などさまざまな観点から論述し、四国遍路の歴史的変遷や他国の巡礼との比較などについて明らかにしている。

 おなじみの白衣の歴史が意外に浅く、戦後もかなりたってから普及したと紹介する章も。広く興味を持ってもらえそうなテーマを選んでおり、各章の末尾には知識を深めるのに役立つ参考文献も記している。

 胡光センター長は「お遍路さんや世界遺産登録に向けて活動する方々に、研究成果をお披露目したいと考えていた。四国遍路は学術的に正しい認識があまり広まっておらず、分かりやすく知らせることで興味を持ってほしかった」と、出版に込めた思いを語った。

 ここ20年の成果について胡センター長は「飛躍的だ」と感慨深く受け止める。一方で「研究すればするほど新しい疑問が生まれてゴールが見えない」と四国遍路の奥深さを感じており、「遍路の普遍的な価値を証明していくことが、世界遺産登録へ求められていることだ」と、今後一層の研究を誓った。

 文庫の本体価格は880円。四国八十八カ所霊場と語呂合わせしている。

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