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2021
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「城山太郎」は誰だ 廃刊の海南タイムズの名物評論筆者

海南タイムズ最終号となった2021年5月5日号の表紙

 愛媛の政治経済情報紙「海南タイムズ」が4月25日発行の5月5日号で廃刊した。県内で確かな存在感を放っていた同紙だが、ひときわ注目されていたのが論説「異見卓見」欄の、ペンネーム「城山太郎」氏の文章だ。特に県内政界の内幕を描いた内容には定評があり、発行直後からいわゆる一番町(県庁)、二番町(松山市役所)かいわいで話題に上ることも少なくなかった。廃刊に伴う名物評論の終了を惜しむ声は多いが、別のメディアに引き継がれるという話も聞こえてこない。城山氏はこのまま「落花流水」(最終号より)となっていくのか。

見どころは迫真のやり取り

 海南タイムズ編集局によると、城山氏の評論は2003年の創刊以来掲載されてきた。政治の裏舞台を、まるですぐ近くで見ていたかのような迫真のやり取りが見どころだ。これまでの見出しをたどると「今治市長選激闘の構図」「中村知事VS塩崎議員のバトル」「松山市正副議長選 みらい独占の攻防戦」などと刺激的な内容が並ぶ。「反響は毎回かなりあった」(編集局)という人気ぶりで、県内のある経営者も「毎回楽しみにしていたので廃刊は残念。城山氏の評論は確かな情報源を持っていることがうかがえ、いつも感心して読んでいた。何とか続けてほしいものだ」と惜しむ。

中村知事「僕に関する部分は深読みしすぎ」

 では、内容の真偽はどうだったのか。城山氏に動向がたびたび取り上げられていた中村時広知事がインタビューに答えた。

城山氏の評論についてどんな感想を持っていますか。 こまめに粘り強く取材して、それを鳥瞰(ちょうかん)図的に分析し、推測もあるけれども非常に興味深く書いているなあということは感じました。ただ僕に関する推測については「それはちょっと深読みしすぎているんじゃないかなあ」と思いました。
 僕は非常にシンプルな考え方をします。政党に所属しているわけでもない、議員でもない、首長です。そこが同じ政治家でも決定的に違う点だと思っています。だから「政党人だったら、議員だったらそうなるだろうなあ、でも自分はそこまで考えてないですよ」というところはありました。おそらく取材した周りの人も同じように見ていて、きっとそうに違いないと思ったんでしょう。だからうそを書いているわけではない。ただ当事者からすると「いやそこまでは考えてないです」というような感想はあります。


具体的にこのときのこの記事は違うなというのはありますか。
 毎回毎回(笑)。ただ政治は科学技術の入る余地がない世界で、当事者は人間です。人間は2千年前と今と比べてもそう大きな進化はないと思っている。ですから、人間イコール「変わっていない政治家」にスポットを当てて心情を解きほぐしていく、読み込んでいくというのは面白いアプローチだと思っていました。

 

城山太郎氏の評論を「僕に関する部分はちょっと深読みしすぎてる」と笑う中村時広知事=2021年4月28日午前11時40分ごろ

近年の記事の中で一番反響があったのは中村知事と野志克仁松山市長の「距離感」についての文章でした。この真偽はどうですか。 距離感という意識もしたことがないです。お互い選挙で選ばれている立場ですから。何も言うつもりもないし、市長さんもご自身で判断すればいいと思います。僕は目の前にある問題は先送りしたくない。先送りすれば傷は大きくなる。それに関して松山市はちょっと積み上がってきている部分があるのかなあ、早くやった方がいいんじゃないかなあという気持ちを申し上げる時はある。

城山氏が「誰か」は知っていますか。 多分そうだろうと思う人はいます。その人と話すことも時折ありますが、それを聞いたことはありません。向こうもにおわせることはありません。だから確証はありません。もしその人だったら、僕はそんなことを言ってないでしょう、深読みしすぎだよと言いたいです。でも楽しく拝見させてもらいました。

人物像「お答えできない」

 

 気になる城山氏の人物像について編集局は「一切お答えできない」との立場だ。ただ、城山氏自身が最終号の「海南タイムズの廃刊に寄せて」とする文章に「新聞記者を経て地元マスコミ関係会社に勤めていた」と、経歴の一端を明らかにしている。実は政財界関係者の間で「この人ではないか」とささやかれている人物がおり、先の経歴にも該当する。本人にメールで取材を申し込んでみたが、締め切りまでに回答は得られなかった。4月28日時点で、海南タイムズの電話も、編集局につながらなくなっていた。(坂本敦志)

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