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「社説類似問題」調査結果について

2021年7月28日(水)(愛媛新聞)

2021年7月28日

 

「社説類似問題」調査結果について

 

 

 

 愛媛新聞社(松山市、土居英雄社長)は論説委員長担当の社説の表現が他社の社説に似ているとの指摘を受け、調査してきましたが、結果がまとまりましたので発表いたします。

 

 弊社では指摘があった4月17日付と5月8日付の社説について、5月24日に「著作権侵害には当たらない」と判断し、公表済みです。その後の調査は上記2本を含め、論説委員長が担当した全ての社説7本に新聞倫理の面での問題がなかったかを中心に行い、5月8日付社説を「新聞倫理に反する」と結論付けました。

 

 当該社説は4月と5月に弊紙に掲載された他論説委員の社説と比べ、共同通信が社説などの参考として配信している論説資料(弊社は契約しておらず他社のホームページに掲載されたもの)と論点、論理展開が明らかに似通っており、日本新聞協会が新聞倫理綱領でうたう、新聞に求められる責務の一つ「責任ある論評」とは言い難いと判断しました。

 

 読者や関係者の皆さまにご心配ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。二度とこのようなことを起こさないよう対策を徹底してまいります。

 

               記

 

1.調査時期・メンバー

 

(1)期間:2021年5月12日~7月27日

 

(2)メンバー:土居英雄社長、加藤令史常務取締役、菅徹常務取締役、長井基裕取締役(論説担当)、白川英樹経営企画部長

 

2.問題の経緯

 

 5月11日夜、社内から「5月8日付の愛媛新聞社説に盗用の疑いがある。他の地方紙の社説と似ている」などと連絡があり、直ちに調査を開始しました。社説類似に関しては、5月14日、20日、21日にマスコミ計3社から問い合わせがあり、このうち1社の指摘は「4月17日付、5月8日付の社説が、共同通信の社説に似ている」という内容でした。

 

 社は5月24日までの調査結果と判断を同日に社内伝達し、愛媛新聞ONLINEに記事をアップ、25日付朝刊に掲載しました。問い合わせのあったマスコミ3社にも24日、回答しました。その後、24日夜と25日にマスコミ計5社からも取材を受け、各社が報道。25日以降も論説委員長担当の残り5本の社説を中心に調査を続けてきました。

 

3.調査の概要

 

(1)調査内容

 

 前述のメンバーは、論説委員長が担当した7本の社説を対象に「共同通信の論説資料などとの類似点の比較」「対象社説の文章および段落の参考素材確認」「対象社説の原稿修正状況」を調査。社説を書く上での論説委員室でのルールや参考素材を把握したほか、「4月と5月に他論説委員が執筆した社説と共同通信の論説資料などとの類似点の比較」等も踏まえ、対象社説と論説委員長の行為に対する評価(著作権侵害の有無、新聞倫理違反の有無)▽原因の調査▽再発防止策の策定-を進めてきました。7本は4月6日付「ウイグル問題 弾圧阻止へ日本も働き掛けたい」、4月11日付「孤独・孤立問題 省庁連携のもと対応を急ぎたい」、4月17日付「熊本地震から5年 生活再建へ息長い被災者支援を」、4月28日付「自民3選挙全敗 政権は国民の不信を受け止めよ」、5月2日付「学術会議問題 声明を尊重して即時に任命せよ」、5月8日付「介護保険料引き上げ 負担は限界 制度の抜本的改革を」、5月13日付「医療制度改革案 効果は低い 国会で慎重に議論を」です。

 

 論説委員長にヒアリングし、報告書や参考にした素材の提出を求めたほか、他の論説委員への聞き取り、外部の専門家の意見聴取、愛媛新聞の報道内容を検証する第三者機関「読者と報道」委員会での協議などを実施しました。

 

(2)調査結果

 

 調査した7本のうち、類似箇所が多く文節や文字の一致率が高い4月17日付、5月8日付について著作権法に造詣の深い弁護士やメディア研究の識者に意見を聞き、愛媛新聞の報道内容を検証する第三者機関「読者と報道」委員会の委員にも見解を尋ね、類似が顕著な5月8日付社説(以下、当該社説)について新聞倫理に反すると認定しました。

 

 法的側面においては、共同通信が配信している記事を基にして執筆するため、「データは同一であり、そのデータを前提にした論評部分も似たものとなるのは避けがたい。明らかに共同通信の論説資料と異なる部分も相当ある」とし、5月24日に「著作権侵害には当たらない」と判断しています。

 

 一方、当該社説は4~5月の期間、弊紙に掲載されたその他の社説に比べて論点や文節、文字の一致率が明らかに高く、論理展開も似通っており、読者に疑念を抱かせてしまいました。一般企業よりも高いモラルが求められる報道機関として、このような社説を掲載したことを猛省しなければならないと考えています。

 

 論説委員長は「社内外から批判や取材を受けるような事態を招いてしまい誠に申し訳ありません」と謝罪した上で、「盗用」の疑いは全面的に否定しています。共同通信の論調と大きく異なってはいけないという認識の下、「業務の引き継ぎに従い、論説資料が掲載された他社のホームページは見たものの引き写しはしておらず、他の論説委員と議論する中で修正した部分を含め、結果的に一部が共同通信の表現に似てしまった」と説明し、「論説資料と論旨は似ているかもしれないが別々のものだ」としています。社はこの弁明も含めて、慎重に検討した結果、過失としても外形的に似ているという事実は動かしがたく、前述の通り新聞倫理に反すると認定しました。当該社説は愛媛新聞ONLINE、愛媛新聞データベースから削除しました。

 

 なお、論説委員長のそのほかの社説や、4、5月の他の論説委員担当の社説については、著作権法や新聞倫理に反しないと判断しました。

 

(3)発生要因

 

 2021年4月、論説委員室に初めて所属した論説委員長は前任者からの引き継ぎや他の論説委員の助言から、共同通信の配信記事をベースとして書く以上、「共同通信の論調に合わせるようにした方がよい」との意識を有するに至りました。一方、前任者と他の論説委員はそのような認識は持っていないと説明しています。

 

 前記の意識の下で論説委員長は配信を受けていない共同通信の論説資料について、引き写しはしていないとしても、当該社説の執筆時に自身の論の組み立ての参考にするなど、不適切な扱いをした可能性は否定できません。

 

 論説委員室では、社説のテーマや論点を議論する際、他社HPに掲載された共同通信の論説資料の取り扱い方等が明文化されていませんでした。当該社説の調査においては、冒頭の一部について他の論説委員の意見を受け入れて手直しした箇所が類似したという事実が認定されています。

 

 社説担当者は社説を執筆する際、設定したテーマに関する共同通信の配信記事を弊社のデータベースで検索し、プリントアウトします。多様な意見を把握するため、HPなどで他紙の社説、論説を見ることもあります。出稿日の前に、社説担当者が内容や構成などについて説明。他の論説委員が気付いた点を指摘します。執筆後も、他の論説委員が原稿をチェックし、担当者が修正した後、出稿するという流れになっています。

 

 社説執筆やチェック時における参考資料の取り扱いルールが明文化されていなかったことについては組織上の問題があったと捉えています。

 

4.再発防止策

 

 前記のような社説執筆の経緯から意識せずとも共同通信の論説資料と似通ってしまう可能性は否定できません。社もこのリスクを十分に把握できていませんでした。今後、このような問題を起こさないため、社説執筆時のガイドラインを策定し、浸透させます。

 

論説委員室・社説執筆時のガイドライン

 

□執筆においては、テーマや論調、論理展開等に関して担当者以外の論説委員と協議し、論説委員室としてコンセンサスを形成する。

 

□出稿においては、必ず当日出番2人から意見を受け、必要に応じて担当者が修正する。担当者の執筆中、ないし他のメンバーが意見する場合は、共同通信の論説資料が掲載された他社ホームページを参照しない。

 

□論評の根拠を明確にするため、執筆テーマに関する共同通信の配信記事や参考にした素材はプリントアウトし、参考にした箇所はマーカーなどで印を付けておく。印刷した記事などは原則1カ月以上保管する。

 

□他社の社説や論説を読むのはあくまで自らの見識を高める目的であることを徹底する。

 

□執筆時に使うデータなどは可能な限り、公開された原資料に当たる。

 

 

 

 社説での論を組み立てる際に根拠とする事実などについては、執筆者による直接取材が実質的に困難なケースがほとんどのため、社説執筆時に注意を欠けば「盗用」のそしりを受ける危険性が潜んでいるにもかかわらず、これを組織として明文化せず、各人の自覚に任せていたことが今回の問題の発生要因の一つになったと考えます。

 

 著作権法や新聞倫理の順守は記者の基本として新人時代に教育し、その後はOJTで学ぶようにしてきましたが、組織的な取り組みは不十分だったと受け止めており、二つの分野の専門家を招いて論説・編集部門を対象に研修を実施し、同様の問題の再発防止に努めます。

 

5.関係者の処分等について

 

 本件の責任を明確にするため、土居社長は月額報酬100%・1カ月、管理監督者で論説担当の長井基裕取締役は同30%・1カ月を減額することとしました。中矢憲吉論説委員長につきましては、8月中に総務企画局付に異動させる予定です。また、弊社の社内規定に則り厳正に処分いたします。

 

                                     以上

 

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