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2021
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Let's Try! 東京五輪新競技

 東京五輪は、新型コロナウイルス禍による開会前の逆風を吹き飛ばすような盛り上がりを見せた。金メダル27個、メダル総数58個と、ともに史上最高の成績を挙げた日本選手団の活躍があったことはもちろん、もう一つの要因が、スケートボードや自転車BMXフリースタイルといった初採用の競技だろう。10代の若い選手たちが思い思いのスタイルでプレーする姿、選手同士がライバルである以上に友達としてたたえ合うシーンに心を動かされた人も多いはず。

 だったらチャレンジしてみませんか? 

 スケボー、BMX、スポーツクライミング。県内でもこうしたアーバンスポーツのスクールや体験講座が増えている。これまで競技の普及や認知度の向上に努めてきた講師の皆さんに、新しい世界の入り口を開いてもらう。(デジタル戦略室)

スケートボード

 

 さっそうとパーク内を滑り回り、空中で巧みにボードを操ってトリック(技)を決める。一方で、転倒すればけがのリスクも大。それが、スケートボードだ。県内で唯一、スケートボードスクールを開くショップ「BG」(東温市下林)の経営者宮内拓也さん(31)は、初心者にも安全で、「カッコイイ」乗り方を教えている。

 

さまざまなデザインがあるデッキ。宮内さんが手にするのは、組み立て済みの「コンプリート」

 店内に足を踏み入れると、壁一面にさまざまなデザインの「デッキ」が並ぶ。愛好家は板の部分であるデッキや、車輪の「ウィール」などを自由に組み合わせて愛用。宮内さんも「デッキは割れるなどして3、4週間ごとには換える」ほどの練習量。スノーボードやサーフィンを含めて「毎日何らかの板に乗ってます」。

 店を訪れる初心者には、「手にして一番テンションが上がるデザインを選べばいい」と呼び掛ける。スケートボードはファッション性が高い競技。服装も、ボードも、トリックも自分が最も格好がいいと思えるかが大事だ。最初から組み立てられている板なら1万~1万5千円で購入できる。

 

プロテクターやヘルメットに加えて、「転び方も重要」と宮内さん

 新型コロナウイルスの感染拡大で休止しているが、月1回は無料スクールも実施。うれしい悩みは、子どもの成長の早さで「スケボー歴1、2年の小学生が私ができないような技を『教えて』と言ってくる。こっちも大変ですよ」と苦笑い。

 スクール以外での練習は、県内に数カ所あるパークを薦める。大事なのは施設のルールを守り、地元の人や場所を「リスペクト」すること。ごみのポイ捨てなどマナー違反はもってのほかで、トリックを決めれば見知らぬ相手にも拍手を送る。東京五輪で見たシーンにも重なる。

板との感覚を身につける練習。この状態からボードを転がして、飛び乗ることも。

基本動作の「プッシュ」。しっかりと前足に重心をかければ、板に飛び乗りやすい

ランプの端でピタッと止まる「ピボットフェイキー」

 難しいトリックを成功させるには練習しかない。「頭の中でトリック時の体やボードの動き、重心の移り変わりなどがイメージできる技は成功できるはずです」。動きを動画で撮影し、確認するとより効果的に上達できるという。

 ほかの人が使わないラインを走り、驚くような場所でトリックを華麗に決める。この時の達成感や喜びはひとしおで「スケボーは簡単に始められるけど難しい。その中に面白さを見いだすと沼のようにはまっていきますよ」。さらなる競技の浸透と、県内の練習場の充実に向けて、ストリートの文化を発信し続けていく。

 インスタグラムhttps://www.instagram.com/bgskateshop_ehime/?hl=ja

自転車BMXフリースタイル

 

 東京五輪での自転車BMXの新種目フリースタイル・パークといえば、金メダルを獲得したローガン・マーティン選手(オーストラリア)の走りがよみがえる。車体を前方に縦1回転させて、体から完全に一度離す大技「バイクフリップ」には度肝を抜かれた。それでもBMXのプロパフォーマー大橋和彰さん(30)によると「五輪には出場していない、もっとすごい選手もまだまだいます」というから、層の厚さに驚かされる。

 

プロパフォーマーの大橋和彰さん。「東京五輪はBMXにとっては大きな出来事でした。感慨深く見ていました」

 松山市出身の大橋さんは中学3年でBMXに出合い、技を取得した時の達成感、高揚感からのめり込んだ。いまも7年間挑戦を続けているトリック(技)があるが、いつか成功させてやるとの思いと、成功した時の快感を味わうためにチャレンジしているそうだ。

 全日本や世界選手権へ参戦後、2015年にショーチーム「LUSH」を設立。全国各地のイベントに出演するほか、松山市で教室や体験スクールを開いている。生徒には子どもから、かつてBMXに乗っていたという30代、40代の大人もいるという。

 

BMXフリースタイルで使う自転車。大橋さんは1年ほどで1台乗りつぶすそう

 大橋さんが教えるのはBMXフリースタイルの中でも、平らな場所でスピンやトリックを競い合う「フラットランド」という種目で、日本が世界でもっともレベルが高いとされる。ジャンプ台や斜面が必要な「パーク」とは違って、5~6メートル四方の平地ならどこでも練習できる。自転車は入門モデルで6万円ぐらいから。車輪の左右に取り付けられた「ペグ」や、くるくる回るハンドルが特徴だ。

 「『自転車版フィギュアスケート』とよく言われます。魅力はまさにフリースタイルということです」。トリックは無数にあり、自分でも生み出せる。その中で、自分のスタイルを磨いていく。「個性が出せる競技です。見てもやっても面白いと思います」

 

トリックの一つで後輪で回転する「ロンモアスピン」。大橋さんも成功するまで1年ほどかかったという

 高校時代、新入生全員が部活動に入らないといけない決まりだったが、ただ一人、「帰宅部」で通した。「それでも毎日BMXの練習をしていたので、誰よりも日焼けしていました」と笑う。「好きなことが一つあれば、人生の支えになります。それは学校以外にあるかもしれないということを伝えられれば」。BMXを通じて、子どもたちが視野を広げるきっかけをつくることも活動の目標としている。

 LUSHホームページhttps://www.lushbmx.com/

スポーツクライミング

 

 重力に逆らいながら反り返った壁に張り付き、行く先のホールド(突起物)に手を伸ばす。「スポーツクライミング」は近年、若者を中心にブームとなり、県内にも多くのジムがある。中でも、石鎚クライミングパークSAIJO(西条市氷見)は、東京五輪の日本代表やオーストリア代表が合宿した国内有数の施設。定期的に初心者教室も開かれており、講師を務める市スポーツ健康課主任の松本雄太郎さん(33)は「高齢女性がムキムキの男性より速く登ることもある、面白い競技です」と紹介する。

 

反り返った壁を登る松本さん。腕の力と同時に、足の使い方も重要になる

 愛媛大フリークライミング部出身の松本さん。学生時代は「(壁がある)第2体育館に住んでいる」とうわさされるほどのめり込んだ。国体の山岳競技に2度出場経験がある。
 教室で教えるのは、約4メートルの高さの壁に設定されたルートを登る「ボルダリング」だ。本格的に競技を始める前は「クライミングシューズに形が似ている学校の上履きが最適」で、動きやすい服装なら誰でも気軽に始められる。簡単なルートなら腕力に頼って完登できるが、初心者に大事なのは「はしごを上がるような感覚」。腕は体を支えるだけで、脚の力を中心によじ登るイメージだ。

  

ガバ

   

カチ

ピンチ

ポケット

 多種多様なホールドの形に合わせて、握り方もさまざま。指をしっかり掛けて握る「ガバ」や、指をそろえ、数センチの厚さのホールドにぶら下がる「カチ」、穴に指を突っ込む「ポケット」など。指への負荷も大きく、松本さんは両手が完全には「グー」の形にはならない。「やはり、競技前後の柔軟は大事ですね」とアドバイスする。

 さまざまな体の動かし方「ムーブ」を使っても、行き詰まるルートは出てくる。そんな時は、他の人の登り方をまねるのも完登への近道。体が大きい人、軟らかい人、腕力自慢の人など、それぞれにあった攻め方があり「正解の方法はなく、登り切ることが正解です」。壁を離れても頭の中で挑戦するルートを考え続け、攻略法がひらめく瞬間が競技の醍醐味(だいごみ)の一つだという。

 

重心の取り方や、足の置き方次第では手を使わなくてもホールドに乗れる

 特殊な器具は使わず、自分の体だけで挑むクライミング。日常生活では使わない筋肉をフル稼働するため、二の腕はもちろん、ひねる動作ではおなか周りもしっかり鍛えられる。引き締まったボディーを目指す人は、ぜひ挑戦してみてはいかがだろうか。

 石鎚クライミングパークSAIJOホームページhttps://www.city.saijo.ehime.jp/soshiki/sportskenko/climbingpark-gaiyo.html

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