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SDGs 愛媛の事例

スマートアイランドモデル事業 松山市中島

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2021年8月24日(火)(愛媛新聞ONLINE)

すべての人に健康と福祉をエネルギーをみんなにそしてクリーンに産業と技術革新の基盤をつくろう住み続けられるまちづくりを気候変動に具体的な対策を海の豊かさを守ろう陸の豊かさも守ろうパートナーシップで目標を達成しよう

再生エネで中島ににぎわいを 市と産官学の協議会連携

 

デイサービス利用のお年寄りを乗せ、海岸沿いをゆっくり走るグリスロ

デイサービス利用のお年寄りを乗せ、海岸沿いをゆっくり走るグリスロ

デイサービス利用のお年寄りを乗せ、海岸沿いをゆっくり走るグリスロ

デイサービス利用のお年寄りを乗せ、海岸沿いをゆっくり走るグリスロ

 瀬戸内海の青空が広がる離島の海沿いを、小型電動車「グリーンスローモビリティ(グリスロ)」がお年寄りを乗せ、のんびり走っています。ここは松山市中島。SDGsに取り組む市は、産官学でつくる「松山市SDGs推進協議会」と連携し、環境にやさしい移動手段としてグリスロの実証運行を、2021年4月から2年間の予定で実施しています。日照時間が全国平均より長い同市の地域特性を生かした太陽エネルギーの地産地消と、電動モビリティの活用で、島のにぎわい創出を目指す「スマートアイランドモデル事業」が動き始めました。

 中島は松山市陸地部から約10キロ沖合にある周囲約31キロの島です。かんきつ栽培が盛んですが、過疎と高齢化が進み、21年の人口(住民基本台帳登録者数)は約2400人で、10年前から約千人も減少。高齢化率は約64%にのぼり、将来的に島民の生活維持が課題になっています。スマートアイランドモデル事業は、島の人口減や高齢化、エネルギーの脆弱(ぜいじゃく)性などを解決し、豊かな自然環境との共生▽快適で安全安心な暮らし▽にぎわい―を同時実現させるのが狙いです。

 

※松山市SDGs推進協議会

「全員参加で、持続可能な地域」をつくっていくため、行政や大学、企業、NPOなど多様なステークホルダー(利害関係者)が、それぞれの立場で意見交換し、連携できる場として2020年7月に発足しました。セミナーやワークショップを通じて課題を共有し、分科会で課題解決のプロジェクトを実践していきます。21年7月現在180団体が加入しています。

 

グリーン電力証書活用し回遊促進

 

スマートアイランドモデル事業のイメージ図(松山市提供)

スマートアイランドモデル事業のイメージ図(松山市提供)

スマートアイランドモデル事業のイメージ図(松山市提供)

スマートアイランドモデル事業のイメージ図(松山市提供)

 事業の大まかな流れはこうです。中島での太陽光発電の電力をグリスロやE―BIKE(スポーツ型電動アシスト付き自転車、イーバイク)に利用。高齢者の移動手段や、新しい観光モビリティとして普及させます。また「環境に優しい電力」として「グリーン電力証書」を市が発行し、道後地域のイベントなどの主催企業に証書を購入してもらいます。企業は「中島の太陽エネルギーで開催したイベントです」と情報発信することで「環境に配慮した催し」という付加価値がつき、道後のブランド力が高まります。併せて中島の魅力もPRし中島に興味を持ってもらい、市内と島の回遊を促して、にぎわいをつくり出そうというものです。

 

グリスロを高齢者・観光客の移動手段に

 グリスロは4人乗りで、時速20キロ未満で走ります。1回の充電で約60キロ走行可能です。市は3台購入しました。中島の特別養護老人ホーム「姫ケ浜荘」を運営する社会福祉法人「島寿会」が1台を運行し、デイサービスを利用する高齢者の送迎や、同利用者と入所者の〝お散歩〟に活用しています。残りは市有宿泊施設「ほしふるテラス姫ケ浜」で、7月から宿泊客に島内散策用に貸し出しています。

 

グリスロで神浦港まで〝お散歩〟を楽しんだお年寄り。「風が気持ちよかったです」と満足そうでした

グリスロで神浦港まで〝お散歩〟を楽しんだお年寄り。「風が気持ちよかったです」と満足そうでした

グリスロで神浦港まで〝お散歩〟を楽しんだお年寄り。「風が気持ちよかったです」と満足そうでした

グリスロで神浦港まで〝お散歩〟を楽しんだお年寄り。「風が気持ちよかったです」と満足そうでした

 7月のある日、デイサービス利用のお年寄り2人がグリスロに乗車し、姫ケ浜荘から数㌔離れた神浦港までを往復しました。道は片側1車線ですが、交通量が少ないため低速でも他の車の迷惑になることはありません。黒﨑忠一さん(97)は「外の風に当たれ、周りの景色もゆっくり見え楽しかったです」と喜んでいました。濱口愛子さん(89)は「年を取ってバイクに乗れなくなったので遠くまで行けるのがいいですね」と笑顔でした。

 姫ケ浜荘の津田治・統括長は「グリスロ乗車がデイサービスに来る方の目的にもなり、家に閉じこもらないためのきっかけとなっています」と話します。

 

建て替え工事を経て2020年7月にオープンした「ほしふるテラス姫ケ浜」。夏季限定から通年営業になり、観光拠点としてさらなる活用が期待されています

建て替え工事を経て2020年7月にオープンした「ほしふるテラス姫ケ浜」。夏季限定から通年営業になり、観光拠点としてさらなる活用が期待されています

建て替え工事を経て2020年7月にオープンした「ほしふるテラス姫ケ浜」。夏季限定から通年営業になり、観光拠点としてさらなる活用が期待されています

建て替え工事を経て2020年7月にオープンした「ほしふるテラス姫ケ浜」。夏季限定から通年営業になり、観光拠点としてさらなる活用が期待されています

 

 ほしふるテラス姫ケ浜では7月19日から8月11日までの平日の16日間で、家族やグループ46組150人以上が利用しました。松山市環境モデル都市推進課の仙波匡視副主幹は「ひっきりなしの利用で人気でした。島のいろんな団体が使って、島の魅力アップにつながれば」と期待しています。イーバイクの貸し出しも同施設などでスタートしています。

 

中島総合文化センターに設置されている太陽光発電パネル

中島総合文化センターに設置されている太陽光発電パネル

中島総合文化センターに設置されている太陽光発電パネル

中島総合文化センターに設置されている太陽光発電パネル

 

さんさんと降り注ぐ夏の太陽光。再生エネの地産地消が今後展開されていきます

さんさんと降り注ぐ夏の太陽光。再生エネの地産地消が今後展開されていきます

さんさんと降り注ぐ夏の太陽光。再生エネの地産地消が今後展開されていきます

さんさんと降り注ぐ夏の太陽光。再生エネの地産地消が今後展開されていきます

 図書館やホールを備える中島総合文化センターには、出力50キロワットの能力がある太陽光発電パネルが設置され、発電した電力を照明や空調などに使っています。グリスロはセンターで生み出した電力も利用しています。

 

「カーボンニュートラルの道筋に」

愛媛大学 野村信福教授

 

中島でカーボンニュートラルの道筋を付けたい」と語る野村信福教授

中島でカーボンニュートラルの道筋を付けたい」と語る野村信福教授

中島でカーボンニュートラルの道筋を付けたい」と語る野村信福教授

中島でカーボンニュートラルの道筋を付けたい」と語る野村信福教授

 スマートアイランドモデル事業のエンジン役となっているのが、松山市SDGs協議会の中の分科会(18団体)です。分科会代表で愛媛大大学院理工学研究科の野村信福教授は「中島でならカーボンニュートラル(温室効果ガスゼロ目標)は達成できます。島内の車は電気・水素自動車にして、定期船も燃料電池で動かす。再生可能エネの地産地消を進め、道筋を付けたいですね」と将来を描きます。実現していくために「住民との対話を大切にし、行政に入ってもらいながらみんなの意識を変えていきたいです」と語ります。

 分科会では本年度、島内にソーラーパネルを民間が設置する計画が進んでいます。また、ほしふるテラス姫ケ浜を軸にした島の魅力発信、グリスロの多様な活用、ワーケーション(旅先に滞在しながら仕事をするスタイル)の実施などを検討しています。各分野で具体的プロジェクトが始まろうとしています。

 

※カーボンニュートラル(温室効果ガスゼロ目標)

地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)などの排出量を、森林の吸収分などを差し引いて実質ゼロにする目標です。温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」を踏まえ、各国が相次いで目標達成の時期を表明しました。日本は菅義偉首相が2020年10月の所信表明演説で50年までの実現を目指すと宣言しました。

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