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愛媛出版文化賞<6>奨励賞/第2部門 美術 愛媛県美術館監修

2022年1月22日(土)(愛媛新聞)

「真鍋博の魅力を少しでも全国の皆さんに届けることができれば」と語る県美術館学芸員の五味俊晶さん。後ろは、県美コレクション展に展示中の「飛ぶ・翔ぶ・走る・動く」

「真鍋博の魅力を少しでも全国の皆さんに届けることができれば」と語る県美術館学芸員の五味俊晶さん。後ろは、県美コレクション展に展示中の「飛ぶ・翔ぶ・走る・動く」

[「真鍋博の世界」 (パイ インターナショナル)]

 

【画業語る作品を厳選 緻密な色指定 過程紹介】

 

 本書を手掛けた「パイ インターナショナル」の編集者の一人が新居浜市出身のイラストレーター真鍋博(1932~2000年)に縁があり、多くの真鍋作品を所蔵している愛媛県美術館に書籍づくりを打診したのが2019年春ごろ。折しも館では真鍋の没後20年の企画展の準備に着手しており、図録の計画もあったことから、それならばと「図録兼書籍」の制作に向け、話が進んだ。

 

 ベースとなっているのは企画展「真鍋博2020」(2020年10月1日~11月29日)に出品した約800点。担当の県美学芸員五味俊晶さんが「より真鍋の画業を物語る作品を」と、そこから厳選していった。

 

 一つ一つの図版を小さくすれば、全出品作を掲載することは可能だったが「資料としてはその考えは重要だが、感動も小さくなるかもしれなかった」と五味さん。ビビッドな色彩や緻密な線といった真鍋の良さを最大限に引き出すため、なるべく元の作品の雰囲気を残すよう、ある程度の大きさで紹介する思い切った構成を採用した。

 

 雑誌や本の表紙など印刷された出版物を「作品」とし、原画は「設計図」と位置づけていたという真鍋。原画と出版物で色がズレることを防ぐため、原画にトレーシングペーパーを重ね、使用する色を細かく指定することもあった。本書では、実際にトレーシングペーパーを用いて制作過程の一部を再現。本に用いることが少ない材質だけに印刷機械が詰まるトラブルにも見舞われたが、「厳密な色構成が大きな特徴の真鍋。どう試行錯誤していたか、少しでも感じてもらえれば」との思いを込めた。

 

 五味さんは「イラストレーターとしてだけなく、日本文化史の中で真鍋の存在を捉え直してみたかった。その取り組みが評価してもらえてうれしい」と喜ぶ一方、「真鍋の魅力はこの本だけに収まるものではない」とも語り、今後も伝え方を考えていきたいと意気込んだ。(向井秀則)

 

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