
⑱ 「壮絶な災害」はありえない

米軍の攻撃から守るため旧海軍機を格納する掩体壕(えんたいごう)。悲惨な戦争の一端を伝える=松山市
原稿をチェックしていて思うのは、誤った使い方をたびたびされる言葉は決まっているということです。そのような言葉は、記事に限らず一般でもよく間違って使っています。一例が輩出です。先日、ある愛媛県立高校のホームページを見ていると、学校ゆかりの人物紹介のコーナーに特定の人物を「本校輩出」としているのがありました。
輩出とは「すぐれた人物が続々と世に出ること」(大辞林、三省堂)。特定の人、あるいは少数に対して使うのは不適切です。そのような場合は「出した」「生んだ」「誕生」などとした方が適切です。
前回取り上げた「輩出」に続き、誤って使われることが多い言葉を取り上げます。今回は「壮絶」。この言葉の使い方は、愛媛新聞など新聞、放送の用語担当者による会議でもたびたび取り上げられます。
壮絶は「ほかに類のないほど勇ましいこと」(三省堂現代新国語辞典)「この上もなく勇ましく激しいこと」(旺文社国語辞典)。「勇ましい」の意味から、プラス要素を持っていることが分かります。スポーツの「壮絶な戦い」、不当な圧力への「壮絶な抵抗」は、その様子がうかがえる適切な用法です。
ただ各メディアで不適切な壮絶の使い方が・・・