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2022
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熱いサウナと温かい女将 「ほぼ」年中無休の今治・ナニワサウナ

 

背中が熱くならないように設置したサウナのタオル。行夫さんが設置場所を作った

背中が熱くならないように設置したサウナのタオル。行夫さんが設置場所を作った

 

背中が熱くならないように設置したサウナのタオル。行夫さんが設置場所を作った

背中が熱くならないように設置したサウナのタオル。行夫さんが設置場所を作った

 

 今、全国の愛好家から注目を集めているサウナが今治市にあることをご存じだろうか。開業して40年以上になるナニワサウナ(今治市南大門町3丁目)。山あり谷ありの昭和、平成、令和の三つの元号をくぐり抜けてきた小さなサウナ店は現在、女将(おかみ)の藤田佐都子さん(67)がたった1人で切り盛りしている。
 営業は午前10時~午後10時までの12時間で、年中無休。熱した石に水をかけて蒸気を発生させる「ロウリュ」や、蒸気をあおいで熱風を送り、入浴客の発汗を促す「熱波師」など昨今のブームをけん引するようなサービスがあるわけではない。しかも、男性専用施設だ。
 外出する用事があれば、近所の人や常連客が数時間、店番をしてくれることもあった。父に連れられて通っていた中学生が、いまは中学生の子どもと一緒に訪れている。なぜ、ここまで愛されるのか。ナニワサウナのこれまでと、佐都子さんが胸に秘めている「これから」を知るため、足を運んだ。(竹下世成)

■ザ・昭和!!

 

40年以上の歴史を持つナニワサウナ

 少し狭く、急な階段を上がり「入口」と書かれたアルミ製の扉を開ける。「いらっしゃーい」。カウンター越しに、受付兼調理場の定位置に立った佐都子さんが明るく出迎えてくれた。頭上には「焼きめし ¥580」「ニューメン ¥530」など20種類以上の「サ飯(サウナ飯)」の品書きがずらりと並ぶ。お薦めは具だくさんのチャンポン。

 店内は、今が令和だということを忘れてしまいそうなほど、漂う空気感は「ザ・昭和」。足元にはワインレッドのカーペットが敷き詰められ、天井の扇風機が室内の熱気を和らげる。背表紙が少し焼けた漫画が壁一面を覆い、使い込まれたロッカーの上には常連客の風呂道具がずらり。未確認飛行物体(UFO)のような形をしたスピーカーは、開業した1979年からの設備だ。

 

ワインレッドのカーペットに壁一面の漫画。スピーカーはUFO!?

 当初は別の男性が経営していたナニワサウナ。その常連客だった佐都子さんの夫・行夫さんは、ほとんど家の風呂には入らず、サウナに通い詰めていた。「多分、のんきな商売だと思ってたんじゃないですか。受付の裏でゴロゴロしてればいいみたいな」。誰にも売らないと言っていた経営者が行夫さんに店を委ねたのは、83年のことだった。

 そのころ、今治市内で喫茶店を営業していた佐都子さん。両店をかけ持ちした数年間は、午前7時から喫茶店でモーニングやランチを提供し、夜は遅くまでサウナの手伝い。「帰る時は電柱が迫ってくるみたい。大変だし、ふらふらだったし」

■危機も到来

 

徐々に増えていった佐都子さんお手製の「サ飯」

 最初の危機は89年。市内にファミリー温泉がオープン。人々にとってサウナがより身近になった半面、男性しか入れないナニワサウナの売り上げは半減した。「あの時は本当に苦しかった。今は新型コロナウイルスの流行で来られないお客さんもいるけど、あれほどの影響はなかったね」と苦い顔。その後も、市内にはサウナ室を備えた大衆浴場が次々と開店。一人、また一人と客足が減っていったが、数十人の常連客に支えられ続けてこられた。

 手先が器用な行夫さんは、壊れたマッサージ機を直したり、休憩室に100インチのスクリーンを設置してムービールームを整えたり。佐都子さんはお客さんのリクエストに応えて「サ飯」のメニューを徐々に増やす。夫婦二人三脚のナニワサウナ。その歩みは、2006年6月に途絶えてしまう・・・

どうして、長年続いた二人三脚は終焉したのか。そして、おかみが新たに下した決断とは・・・

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