
悠湯自滴⑦ 権現温泉 歴史ある「前道後」に漬かる

かつては「前道後」と呼ばれた権現温泉
♨最盛期は「前道後」と呼ばれた名湯

石仏が鎮座する大浴槽
松山市北西部の閑静な丘陵地にある権現温泉。100年以上の歴史を持ち、湯治場としても利用されてきた。近年は常連客や地元住民が大半を占め、アットホームな雰囲気が漂う。宿泊もできるため、県内外の野球やサッカーの合宿施設としても利用されている。
権現温泉の始まりは大正時代にさかのぼる。地元の堀江公民館が発刊した「ふるさとほりえ発見の旅」によると、大正初期に住民有志が源泉を発見。当時の地名から「友国温泉」と名付けられた。
道後周辺の温泉開発を進めていた松山市が1957年、新たに源泉を掘削し、湧出量が増加。「権現温泉」として本格的な観光開発が始まった。最盛期の昭和40年代には7、8軒の旅館があり、「前道後」と呼ばれるほど栄えていた。
♨石仏が鎮座する浴槽で人心地

源泉かけ流しの「薬湯」(左)と水風呂
現在の施設は権現温泉観光(石丸睦美社長)が経営。泉質はアルカリ性単純温泉で、ぬるっとした肌触りの良さが特徴だ。「皮膚に効くと評判で、道後より安く泊まれるため、人気があった」(堀江公民館元館長)。
大浴槽にはシンボルともいえる石仏が鎮座する。男湯が観音像、女湯が不動明王。湯の温度は・・・