愛媛新聞ONLINE

2023
121日()

「南無阿弥陀仏」をバルーンで!?今治市の「バルーン住職」

 

 地域のお祭りに、幼稚園や図書館のイベントに、引っ張りだこのバルーンパフォーマーが今治市にいる。その正体は、420年続く浄土真宗の寺院・常高寺のご住職。「バルーン住職」として活動する加藤大地さん(40)だ。趣味の範囲を超えるクオリティーの作品の中には、「阿弥陀如来」など仏教にまつわる物も。異色の表現者が生まれた背景に迫った。(正岡万弥)

🎈何でも作れる

 加藤さんのリュックには、いつも約250本のカラフルなバルーンとポンプ、さまざまな小道具が詰まっている。依頼を受け、ボランティアでショーやワークショップを開く時に持っていくものだ。

 

常高寺の本堂で自作のバルーンアートを手にする加藤大地さん

 

リュックにはバルーンや必要な道具がぎっしり詰まっている

 10月中旬には、今治市・大三島であった「三島水軍鶴姫まつり」でショーを披露。加藤さんはかぶとをかぶって剣を振り、弓で矢を飛ばす。もちろん、全てバルーンだ。勇壮な水軍の船や、翼を広げて飛ぶ鶴も登場。武芸に秀でていたと伝わる鶴姫の世界をバルーンだけで表現し、観衆の心をつかんだ。客席とのやりとりもお手の物で、盛り上げに欠かせないBGMは家族と相談して決めている。

 

翼を広げて大空を飛ぶ鶴をバルーンで表現

 とにかく何でもバルーンで作ってしまうのがバルーン住職の特技だ。インターネットで見つけた画像をヒントにアイデアを組み合わせ、アレンジを加えながら作品を生み出す。今までに作った作品は400~500種類。「基本的に、同じものは作りたくない。自分が飽きないためにも毎日新しいことをしています」とこだわりを口にする。

 

お釈迦(しゃか)様の誕生の際、足下には花が咲き、天から甘露の雨が降ったというエピソードを表現した花祭りのバルーンアート

 仏教に関する作品も数多い。代表作の一つは、浄土真宗の本尊である阿弥陀如来だ。現役僧侶ならではの細部へのこだわりが見どころで、真宗の阿弥陀如来像の特徴である直立前傾の姿勢と、どんな人も見捨てずすくい上げようとする「摂取不捨」の構えを忠実に再現。さらには「南無阿弥陀仏」の名号の文字一つ一つまで作り上げてしまった。「バルーンで作ったのは僕が世界初だと思う」と笑う・・・

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