下田教授の世界経済まとめノート+深掘り

一橋大学国際・公共政策大学院特任教授 下田知行氏
E4読者の皆さん、お久しぶりです。
E4には、日本銀行松山支店長として愛媛県にご縁を頂いていた2013~15年にもコラムを執筆させて頂いていました。ちょうど黒田総裁就任後、デフレ脱却を目指して「量的・質的金融緩和(QQE)」と呼ぶ大規模金融緩和に乗り出した時期に当たります。地方創生がアベノミクスの柱とされたこともあり、インバウンド観光を地方活性化につなげるために観光ポータルサイトの充実を訴えたり、県内市町村の人口動態を分析して人口減少・少子高齢化のインパクトを考えたりしたことなどが思い出されます。
松山支店長離任後は、QQEなどの金融緩和をどう実現していくか金融政策のデザインを担当している企画局で国際交渉などを統括していました。2018年6月からは一橋大学で教鞭をとっています。
新たに始めさせて頂くこのコラムは、愛媛新聞本紙に連載する「世界経済まとめノート」との連動が大きな特徴となっています。本紙では字数などの制約から十分にお伝えできなかった情報や分析を「深掘り」してお伝えします。世界や経済に対する私自身の予測も大胆に披露させて頂きたいと思います。反論もきっとあると思います。このコラムが読者の皆さんの思考の何らかのヒントになることができれば光栄です。
下田知行(しもだ・ともゆき) 東京大学法学部卒業後、1989(平成元)年日本銀行入行。金融政策、金融市場、金融システムの主要政策分野で、政策の企画立案や国際交渉を担当。国際決済銀行(BIS、スイス・バーゼル市)や国際通貨基金(IMF、ワシントンDC)で合計5年間の国際機関勤務も経験。2013(平成25)~2015(平成27)年、松山支店長。企画局審議役を経て、2018(平成30)年、一橋大学国際・公共政策大学院特任教授。趣味は世界中の動物園でカバを見て回ることと宝塚観劇。東京オリンピック開催中の1964(昭和39)年10月14日生まれ、55歳。鹿児島県出身。
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