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地軸

マスク生活

2021年4月16日(金)(愛媛新聞)

 脊椎動物の原初の姿に近いとされるのが頭索動物のナメクジウオである。細長い体の前端に口があるだけ。この生き物が私たちの祖先だといわれると、何とも複雑な気持ちになる。だが、餌を捕らえるためにまず口ができたのだと聞くと納得もする▲

 

 顔の歴史は口から幕を開けた。やがて目、鼻、耳が集まる。猫には猫の、馬には馬の、環境に適応するために努力してきた工夫が満載されている。あなたの顔は動物進化が長い時間をかけて生みだした、究極の傑作―。人類学者馬場悠男さんが著書「『顔』の進化」で述べている▲

 

 新型コロナウイルスの感染増加で緊急事態宣言が全国に拡大されたのが1年前。口をマスクで覆う生活は当たり前となり、マスクの顔しか知らない人も増えた▲

 

 すっぴんのまま外出できて、「見られない」安心感もある。ただ、いかに顔と声でコミュニケーションをとっていたかを思い知らされる。相手の表情が見えず喜怒哀楽が分かりづらい。言葉が聞き取りにくくても、近づくわけにはいかない▲

 

 馬場さんは、人は特に目を情報発信に役立てているという。目配せやウインク、眉上げなどだ。他の動物と違い白目が目立つのは、視線を相手にはっきり示し、仲良くするために人が選んだ結果だと▲

 

 人の顔がこの顔である不思議に思いをはせる。変異株という新たな敵と闘い第4波を乗り切るためにも、せめてマスクの下では明るい表情を心がけたい。

 

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