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老人の教え

2019年6月19日(水)(愛媛新聞)

 「ひと言もおのれが悪いとはおっしゃらぬ。それでは済みますまいぞ」。老人は一人の武士をこう諭すのだ。山本周五郎の小説「武家草鞋(ぶけわらじ)」で年長者が人生、社会の真理を説いている▲

 武士は世の中の悪徳や人のずる賢さに不平を並べていた。それに対し老人は言う。世間とは人間の集まりで、自らもその一人である。だから、世間に文句を言う前に「まず自分の頭を下げなければなるまい」▲

 今、この問題で自分が悪いと認め、頭を下げる必要があるのは誰なのだろう。老後に夫婦で2千万円の蓄えが必要とした金融庁金融審議会の報告書を巡る混乱のことだ。金融庁の局長による謝罪がインターネット上で議論を呼んでいる▲

 「配慮を欠いた対応で深くおわびする」と局長が頭を下げたことに、「誰に謝っているのか」「謝罪するのなら大臣ではないか」といった声が相次ぐ。それぞれ趣旨は異なるが、金融庁に責任を押し付けることに違和感を持つ人は多いようだ▲

 特に首をかしげるのは、麻生太郎金融担当相が報告書の受け取りを拒んだ対応ではないか。意に沿わないので受理しないのは頼んだ相手に失礼だろう。報告書の表現を問題視するより、政府の一員として老後の生活設計に不安を募らせた国民に説明責任を果たしてほしい▲

 小説の老人は、他人に何かを求めずに自らの責務を全うすることに専心するよう教える。誰かに責任を負わせ保身に走るようではいけない。

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