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地軸

一つ一つの命

2018年12月16日(日)(愛媛新聞)

 宮崎駿監督のアニメ映画「風の谷のナウシカ」が歌舞伎で舞台化される。巨大産業文明が滅びた千年後の世界。毒を放つ森「腐海」、巨大な「蟲(むし)」たち。あの世界観をどのように表現するのか、興味は尽きない▲

 古典「堤中納言物語」の「虫めづる姫君」は、ヒロインのナウシカのモデルの一つとされる。姫は、毛虫を「思慮深いのがいい」と言って、チョウになる様子を観察する。周囲に奇異な目で見られても「物の本質を追究してこそ、立派な心がけ」と意に介さない▲

 ナウシカも、蟲を恐れず心を通わせ、腐海が汚れた大地を浄化していることに気付く。原因をつくった人間の罪深さに心を痛めつつも、一つ一つの命に真っすぐ向き合う姿が胸に刺さる▲

 写真集「辺野古」(中村卓哉、クレヴィス)を開く。沖縄県北部の「やんばるの森」を源とする川から干潟、浅瀬、大浦湾まで、森と海がつなぐ生き物の姿をとらえる▲

 森の栄養を蓄えた川には卵を守るシマヨシノボリ、マングローブの林にはミナミトビハゼ。藻場が広がる浅瀬にはジュゴンが海草を食べた跡が残る。そして広がるアオサンゴなどの群生には、カクレクマノミやアオウミガメが暮らす▲

 米軍基地の移設工事で投入された土砂によって、辺野古の海が茶色く濁っていく。人間のエゴで奪われる一つ一つの命に、謝っても謝りきれない思いだ。ナウシカの世界が発した現代への警告は、まだ続いている。

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