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地軸

不忘の碑

2017年8月16日(水)(愛媛新聞)

 「憲兵の怒気らんらんと廊は夏」新木端夫、1940年2月14日検挙、釈放。「戦争をやめろと叫べない叫びをあげている舞台だ」栗林一石路、1941年2月5日検挙、懲役2年…。戦争と俳句と弾圧―結びつかない字面の冷徹▲

 戦時下の40~43年、治安維持法によって俳人40人以上が「反体制」のかどで検挙された。世に言う「新興(昭和)俳句弾圧事件」。戦後72年、新たに「共謀罪」法が施行された今、その苦難を忘れず表現の自由を守ろうと「俳句弾圧不忘の碑」建立計画が始動した▲

 予定地は長野の「無言館」近辺。そう聞いて、小高い丘にたたずむ十字架形の建物を訪ねた20年前の夏を思い出した。戦没画学生の慰霊美術館には未完の、だが描く喜びにあふれた絵、絵▲

 パリ留学を夢見ながら26歳で命を絶たれた中川勝吉さん(明浜)、尾田龍馬さん(享年25、宇和島)らの絵も。「あのつらかったこと、言葉になりません」。涙を拭い、ぽつぽつと語ってくれた遺族の無念が、もう一つの「命」である作品を守り、残すことでわずかでも癒えることを願う▲

 「無言館泥濘にジャングルに死せり」金子兜太。今年開館20年、140万人が訪れた。碑建立の呼び掛け人でもある館主窪島誠一郎さんや金子さんの「不忘」の思いと作品の輝きが、静かに雄弁に平和を問い続ける▲

 きょうは、亡き人が空へ帰ってゆく送り盆。「不忘の碑」は残された人の、それぞれの胸に。

 

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