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愛の点滴

2017年3月23日(木)(愛媛新聞)

 「愛の点滴100ミリリットル」と題した先週の本紙「四季録」が、静かな反響を呼んでいる。大切な人をみとるときの、それぞれの優しい思いが胸に迫る▲

 鬼北・旭川荘南愛媛病院の岡部健一院長が、松山べテル病院の中橋恒院長に聞いた話をつづった。終末期に点滴を頼まれ「100ミリリットルのブドウ糖液でも点滴することがある」という。医学的には効果がなくても、大切なことだと思いを新たにした―と▲

 代謝が衰えた患者に過度の栄養や水分を補給すると、むくみなどでかえって苦しいことも。控えた方が楽と分かっていても家族は「何かしてあげたい」と願わずにはいられない。その思いをくんで、苦しくない程度にごく少量の点滴を施す主治医。心身の痛みを和らげる「緩和ケア」の原点を見る▲

 「気持ちだけ点滴する、という対処は勉強になった」「病院でやっていたから家でも、と言われると断れない」。県内の医師の率直な感想にも、希望を見いだす。一緒に悩み、考えることこそ寄り添う第一歩▲

 医療者にも患者にも、緩和ケアとは難しく消極的な医療との思いがいまだ残る。それでもつらいだろうと共感し、そっと手を触れるだけで和らぐ痛みもきっとある。治せなくても、最期まで「支える医療」の役割は大きい▲

 誰しも人は、いつか旅立つ。「愛の点滴」の力を借りられれば、命の寂しさもいずれ、温かい記憶に転じよう。そんな思いを巡らす、春彼岸の明け。

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