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社説

経済政策 「実感なき好景気」の現実直視を

2017年10月17日(火)(愛媛新聞)

 安倍晋三首相は先月、「内需主導の力強い経済成長を実現した」と自らの経済政策に胸を張った。景気拡大が戦後2番目の長さになるなど、政府の複数の指標は好景気を示してはいる。だが、国民の多くは「豊かさ」を実感できないまま。認識に大きな隔たりが生じ、実効性が疑われる政策を今後も継続するのか否かを問う機会である。

 今の政策は、企業を優遇して業績改善を図り「景気が回復したら」その恩恵を行き渡らせる構図だ。財界を取り込み、長期政権の基盤を固める思惑も透ける。大規模な金融緩和で円安や株高を演出し、法人税軽減で業績は伸びた。だが企業は利益をため込み、賃上げはわずか。企業からは将来の世界的な経済危機に備えるためとの声も聞こえるが、問題は利益を賃金上昇に結びつける有効な手段を欠く点にある。政策の行き詰まりを認め、抜本的に見直すべきだ。

 不十分な賃上げでは生活設計は描けない。将来不安から収入は貯蓄に回り、国内総生産の6割を占める個人消費は低迷。2%の物価上昇目標の達成は遠のくばかりだ。そもそも人口減が進む中で、景気浮揚を個人消費に頼る経済構造の変革を検討する必要がある。だが首相は目先重視の消費刺激策を打ち続け、案の定、効果は上がらない。大手小売店が安売り傾向を強めているのも、首相が主張する「経済成長」が思うように軌道に乗っていない証左という他ない。

 金融緩和を担う日銀は大量の国債を買い続け、国債保有割合は発行残高の4割を超えた。政府は低金利で借金ができる状況に甘え、財政規律は失われつつある。懸念するのは、日銀が購入量を絞れば、信用不安で国債相場が崩れ、金利高騰といった混乱を招く恐れがあることだ。出口戦略を議論しない政府、日銀の姿勢は無責任に過ぎる。

 自民党は経済のひずみを直視せず、現政策の「加速」を公約に掲げた。首相は昨年夏の参院選で政策の「エンジンを最大限にふかす」と宣言したが、地方や中小企業に波及しなかった。ふかしきったエンジンでさらに加速させると言い募っても、説得力がない。必要なのは曖昧な掛け声ではなく、いつ、どの程度所得を上げるかという「工程表」。政策継続の是非について党内議論を深めるべきだ。

 希望の党は公約で企業の内部留保への課税を挙げる。賃上げや設備投資への誘導を狙うが、法人税との二重課税になり、実現性には疑問が残る。共産、立憲民主、社民党は大企業や富裕層への増税、再分配機能の強化で足並みをそろえる。財源確保の手だてを探り、格差是正策を示してもらいたい。

 各党は長期的な視野に立ち、国民が豊かさを実感できる策について論戦を展開してほしい。少子高齢化が進行する中でも安心して暮らせる社会像を示し、それを実現するための明確な道筋を示さなければ、国民の不安や閉塞(へいそく)感は拭えない。

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