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社説

留学生不明問題 受け入れ目標ありきのひずみだ

2019年6月19日(水)(愛媛新聞)

 東京福祉大で千人以上の留学生が所在不明になっていることが分かった。利益優先で学生を集め、教育環境の整備を怠るというずさんな運営実態が明らかになり、日本の大学への信頼を失墜させている。

 不明者の大半は、正規課程への準備段階で日本語などを学ぶ「学部研究生」。文部科学省は学部研究生の新規受け入れを当面見合わせるよう指導し、私学助成金の減額や不交付も検討する。大学の管理責任が厳しく問われるのは当然だ。一方で、異常な実態を見逃してきた国の対応にも問題がある。留学生の受け入れ環境を十分整えないまま目標達成を追求したひずみの表れと認識すべきだ。全国的に実態を調べ、留学制度自体を含め問題点を改善する必要がある。

 東京福祉大は2016年度から、学部研究生の受け入れを本格化。大学の定員に含まれず人数に規制がないこともあり、それまでの2桁程度が18年度は2656人に膨らんだ。16年度からの3年間で1113人が所在不明になったほか、退学や除籍も454人に上った。募集要項では「相当程度の日本語能力が必要」と掲げたが、日本語能力が低い学生も大勢いた。

 東京福祉大は今回の問題を遺憾としながらも「行き場のない留学生を救ってきた」と説明する。しかし、キャンパスでは学生を収容できず、銭湯やコンビニが入居する雑居ビルの上階などを教室に使用。文科省の調査では、教室内にトイレがあり、授業と関係ない学生も出入りしていた。職員1人当たりの学生数も、15年度の40人ほどが18年度は100人を超えた。

 文科省は異常な実態に気づかなかったことについて「性善説に立っていた。的確な把握が遅れたのは問題だった」と釈明する。政府は08年に留学生30万人計画を策定、20年までの実現を目指している。18年の留学生総数は29万8980人と達成間近に見えるが、その裏でチェックが甘くなっていなかったか検証が不可欠だ。

 政府の計画に合わせ日本語学校などの留学生が急増しているが、質の低い学校が混在するとの指摘もある。急増した多くがベトナムなど比較的貧しいアジアの国々の出身だ。専門家によると、就労を目的に来日するケースも少なくない。現地ブローカーに来日費用を払い、借金を背負う。返済のため、人手不足のコンビニや飲食業界などで働き、留学生の労働時間上限の週28時間を超える場合がある。疲れて授業に集中できない悪循環も招いているという。

 日本語能力を高め専門知識を学ぶのが留学の本来の目的のはずだが、肝心の教育内容は不十分な上に、低賃金の労働力として社会に組み込まれている。これでは多文化共生の理念に疑問符が付きかねない。国は現場任せにしてきたことを反省し、留学生が安心して学業に打ち込める環境の整備に責任を持たなければならない。

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