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社説

寡婦控除と妊婦加算 少子化対策と全く逆行している

2018年12月16日(日)(愛媛新聞)

 子育て支援とはまるで逆行した政策に、少子化という「国難を突破する」と言い切った安倍晋三首相の本気度を疑う。

 自民、公明両党は2019年度与党税制改正大綱を決めた。そのうち未婚のひとり親支援に関しては、自民党が「未婚を助長しかねない」と後ろ向き姿勢を崩さず、結局、地方税制の小幅な見直しでお茶を濁した。

 現在の「寡婦(寡夫)控除」制度では、離婚や死別でひとり親になった場合の税制上の支援が、未婚の親は受けられない。婚姻歴の有無による線引きは、不平等だ。その差は人によって年間数十万円に及ぶ。「未婚で産んだことへのペナルティー」と当事者が感じる理不尽な差別の解消へ、制度の抜本改革を急がなければならない。18年度の大綱でも、本年度結論を出すことで合意していたはずだ。再度の先送りは看過できない。

 自ら非婚を選択する人は限られている。ひとり親を支援する認定NPO法人の調査によると未婚の理由は「妊娠を知ると男性が去った」が24%、「妻子がいた」が19%、「婚約破棄された」が16%と続く。やむにやまれぬ状況で出産を決意しても、経済的に追い詰められる。妊娠中にパートナーから暴力を受けて別れた場合など、認知してもらえず、養育費を受け取れないケースも多い。厚生労働省の16年の調査では、未婚のシングルマザーの平均世帯年収は177万円。母子家庭全体の200万円よりさらに低い。

 生まれた環境がどうであれ、皆同じ子。国がすべきは、困窮する現実に目を向け、誰も置き去りにしないよう手を差しのべることだ。超少子高齢化時代、どの子も大切に社会で育ててこそ未来は開かれる。旧態依然とした家族観に縛られたままでは格差が広がり、出産からますます遠のくに違いない。

 一方、妊娠中の女性が医療機関を外来受診する際に徴収される「妊婦加算」を巡っても、子育てへの国の意識の低さが見える。十分な議論も周知もなく今春導入したが、「妊婦税」だと批判を浴び、来年春の統一地方選と夏の参院選への影響を懸念する与党の声を受けて、厚労省が慌てて凍結を表明した。

 妊娠中は薬の処方などを慎重に行う必要があり、妊婦の治療を敬遠する医療機関をなくすため報酬を手厚くしたというが、妊婦に負担を押し付けたばかりか、コンタクトレンズの処方など関係ない診療科でも適用されるなど、問題が大きかった。妊婦が安心できる診療の仕組みを国は再考しなければならない。

 国はこれまで30年にわたって少子化対策に取り組んできたが目立った効果はない。根底にこうした子育てへの意識の甘さや冷たさがあるからではないか。家族の在り方は多様化したが制度は追い付かず、生きづらさがまん延している。どの子も温かく迎え入れる安心な社会を早く築かなければ、少子化はさらに進み、早晩立ちゆかなくなる。

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