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社説

日銀総裁再任案 緩和策の継続の是非も検証せよ

2018年2月24日(土)(愛媛新聞)

 政府が、4月に任期切れを迎える日本銀行の黒田東彦総裁を再任させる同意人事案を国会に提示した。続投が決まれば、57年ぶりに在任期間が5年を超える異例の人事となる。

 黒田氏は、2013年3月の就任直後から大量の資金を市場に供給し経済を下支えする大規模な金融緩和を続けてきた。再任案は、安倍晋三首相が自身の経済政策の中核である緩和路線を継続させることを、国内外に宣言したことに他ならない。だが「2年で2%の物価上昇」と自ら掲げた目標が、5年たっても未達の責任が問われぬままでの再任には疑問符が付く。国会は、これまでの政策運営を検証し、金融緩和策の継続の是非も慎重に判断せねばならない。

 物価上昇目標の達成時期の延期は6回を数える。そもそも2%の目標自体の妥当性にも疑念がわく。人口減少の影響などで成長の実力そのものが低下している中で、デフレ克服のみによって成長の好循環が生まれるとの発想には無理がある。

 緩和頼みの政策自体が、限界にきていると認識するべきだ。緩和で円安と株高が進み企業の業績は回復したが、利益は内部留保に回され、賃上げは十分に進んでいない。将来への不安から個人消費も伸び悩んでいる。

 副作用も目立つ。景気刺激策としてマイナス金利を導入し、住宅ローン金利など貸出金利を幅広く押し下げた。一方で、民間銀行は貸し出し利ざやが縮小し、特に融資業務が中心の地方銀行への打撃は大きい。上場82行のうち、6割の49行が17年4~12月期決算で減益となった。地銀の体力低下は、地域経済に悪影響を及ぼしかねない。

 物価目標達成のため、国債購入を続けた結果、日銀の保有残高は全発行額の約4割に達し、国の財政を日銀が支える財政ファイナンスに近い状態にある。国債を発行しても日銀が買い支えるという安心感で、政府の財政規律は緩んでいる。上場投資信託も大量購入し、企業の株価を実力以上に引き上げ、価格形成をゆがめた。さらなる副作用は避けなければならない。

 問題は、景気後退局面に日銀の打つ手が乏しくなっていることだ。国債の買い入れはほぼ限界に達し、マイナス金利には市場の反発が根強く、深掘りは困難。年初から世界的に株価が急落し、足元の景気減速に備える必要が高まっているが、今の路線では到底対応できまい。

 大規模緩和はリーマン・ショック後の世界的な金融危機に対応するため、先進国の中央銀行が足並みをそろえ導入した。ただ欧米では緩和路線を脱し、金融正常化へかじを切り始めており、日銀だけが置いていかれている。黒田氏は、緩和を終了する出口戦略に関し「時期尚早」と言及を避ける。だが非常措置の緩和を続ければ、ひずみは大きくなるばかり。政府と日銀は将来のリスクに目を向け、政策を見直し、正常化に向けた道筋を描かなければならない。

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