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社説

地方議員なり手不足 厚生年金加入での解消は早計だ

2018年8月21日(火)(愛媛新聞)

 過疎地を中心に全国で深刻化する地方議員のなり手不足を解消するため、自治体職員と同様に厚生年金への加入を認める案が浮上している。共同通信による全国の地方議会議長のアンケートでは51%が賛成し、反対の16%を大きく上回った。

 なり手不足を放置すれば、民意の集約や地域課題を政策に反映させるといった議会の機能が弱まりかねない。ただ、年金加入で老後保障を手厚くすることが、たちまち改善につながるかどうかは未知数だ。議会への住民の関心を高めることや、会社員や子育て中の人が立候補しやすい仕組みなどの幅広い環境整備も欠かせない。保険料の半分を自治体が支払うため、年間200億円程度の新たな公費負担が生じるとの試算もあり、安易な導入には慎重になるべきだ。

 地方議員には独自の年金制度があったが2011年に廃止された。市町村合併に伴う議員数の減少で運用が難しくなったことや、3期12年在職すれば他の公的年金と併せて受給でき、議員優遇との批判が以前からあったことが背景にある。

 新たな年金加入案は地方議会団体などが要請。自民、公明両党は先の通常国会で法案提出を目指していたが、反対意見も根強く断念している。

 確かに議員のなり手不足と高齢化は厳しい現状だ。15年の統一地方選は、全国の町村議会で改選定数の22%が無投票となった。60歳以上の議員は昨年7月時点で75%を占める。議員定数と報酬は削減傾向で、合併に伴い議員1人当たりの活動範囲が広がるなど負担も増えており、打開策を求める声が上がるのも理解できなくはない。

 しかし、年金加入より先に向き合わなければならない課題がある。現状を見ると、地方議会と住民との距離が離れすぎている。理事者提案を追認するだけの低調な議論や平日の昼間中心の議会運営、住民側の「お上任せ」の意識…。これらが複合的に組み合わさり、負の循環に陥っている。強い危機感を持ち、あるべき姿を取り戻さねばならない。

 県内では住民向けに報告会を開催する市町議会が増えた。なり手確保のためには、多くの住民としっかり意見交換し、議員同士の議論や政策提言、行政のチェックといった役割を果たしている姿を見せ、これまで以上に議会・議員への関心を高めてもらうことが重要だ。

 さらに年金加入については、一般的な公務員とは働き方が大きく異なる議員を同じ扱いにするのかという問題もある。年間の会期日数は、人口千人未満の自治体では平均23日にしかすぎず、フルタイムで働く職員と比較し不公平感が拭えない。

 年金改革による支給額の抑制や、来年10月に予定されている消費税増税など、国民の負担が増す中での年金加入は「お手盛り」とも言われかねない。一層の議会・議員離れを招かないためにも、拙速は避けるべきだ。

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