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社説

海賊版サイト対策 接続遮断の法制化方針

2018年10月21日(日)(愛媛新聞)

  漫画などを無料で読ませる海賊版サイトへの対策を検討してきた政府の有識者会議が、中間報告の取りまとめを断念した。

 サイトが見られないよう強制的に遮断する「ブロッキング」の法制化を巡り、憲法違反の疑いを指摘する委員と、被害対策に有効とみる委員との意見対立が最後まで解けなかった。

 政府は来年の通常国会で法案提出を目指しているが、有識者から「お墨付き」が得られなかったばかりか、かえって懸念の大きさを突き付けられた。このままでは国民の理解は到底得られず、法案づくりを進められる状況にないのは明らかだ。法制化の方針は棚上げするよう求めたい。

 政府は4月、三つの海賊版サイトを名指ししてネット接続業者(プロバイダー)に自主的なブロッキングを要請。法的根拠がなかったため、同時に法制化の方針を打ち出し、有識者会議に方向性の議論を委ねていた。

 海賊版サイトは著作権を侵害し、出版社や作家に大きな損害を与えている。手をこまねいているわけにはいかないのは確かだ。だが、ブロッキングに頼るのは弊害が大きすぎると言わざるを得ない。

 接続を遮断する際には、問題のあるサイトを見ているかどうかにかかわらず、プロバイダーが全ての利用者の通信履歴をチェックする必要がある。憲法が保障する「通信の秘密」を侵害する恐れが強く、プライバシーや内面の自由が脅かされかねない。特定のサイトを遮断することは「表現の自由」が禁じる検閲につながる。委員の法律家や事業者が法制化を懸念したのはもっともなことだ。

 ここにきてブロッキングの必要性の根拠にも疑問が生じている。海賊版サイトは日本国外で運営されていることが多く、運営者の特定や本人への削除要請が難しいとされてきた。政府や賛成派はそれを根拠に「遮断以外に有効な対処法がない」と訴えてきた。

 ところが議論が進む中で、米国内の司法手続きによって海賊版サイトの運営者とみられる人物の氏名や住所などが特定できた事例が報告された。「特定は困難」としてきた根拠は一体何だったのか。政府が肝心な調査を尽くしていなかったことは、「遮断ありき」の姿勢だった証左であり、看過できない。

 政府が法制化方針を無理に押し通そうとするなら、違憲訴訟が提起されるなど、さらなる混乱を招くことは避けられない。ブロッキング以外の道を探る努力をするべきだ。

 もちろん、海賊版サイトへの対応は進めなければならない。サイトに広告を出さないよう企業に呼び掛けたり、正規版を簡単で安価に楽しめる環境を整えたりするなどして、海賊版を認めない仕組みを強化していくことが欠かせない。学校や地域でも著作権教育を広め、海賊版を利用しないよう啓発活動を続けていくことも大切だ。

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