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社説

カシミール問題 自治権剝奪 インドは即時撤回を

2019年8月18日(日)(愛媛新聞)

 インドとパキスタンが領有権を争うカシミール地方で緊張感が高まっている。インドが一方的に、その中の支配地域であるジャム・カシミール州の自治権剝奪を決めたためだ。

 ヒンズー教徒中心のインド国内で、唯一イスラム教徒が多数を占めるジャム・カシミール州は、約70年にわたり自治が認められていた。しかし、インドのモディ政権は「分離主義、テロをもたらしただけ」とし、連邦政府直轄地とする。

 インドと、イスラム教国のパキスタンはカシミール地方などを巡り、過去に3度の戦火を交えた。両国軍がにらみ合う実効支配線付近では銃撃戦も報告され、さらなる衝突の懸念が強まっている。核保有国同士の対立の激化は、不測の事態につながりかねない。インドは地域情勢の安定化へ、自治権剝奪を即時に撤回すべきだ。

 カシミール地方は、インドとパキスタンが1947年に英領から分離独立した際、領有権争いに発展した。実効支配線が事実上の国境線になっているが、小競り合いが続き、ジャム・カシミール州では独立を求めるイスラム過激派も活動している。

 インド憲法は、ジャム・カシミール州で住民以外の土地取得を制限し、防衛や外交を除く大幅な権限を州に認めている。ところが、今年5月にインド下院選で、ヒンズー教至上主義の与党インド人民党が自治権剝奪を公約として圧勝。モディ政権は勢いのまま、自治権を定めた憲法規定の削除に動いた。テロ排除や経済成長に資すると正当性を強調している。

 しかし、自治権は州の特殊性や歴史に配慮し、長年認められてきた。地元との話し合いもなく現状を変更するのは強権的であり、民主主義国家の取るべき行動ではない。背景には、ヒンズー教徒を移住させて住民の宗派構成を変える狙いもあると指摘される。政権の主張とは裏腹に、宗派の対立をあおり、地域の平和や経済発展が損なわれるだけではないか。

 ジャム・カシミール州では治安維持の名目で厳戒態勢が敷かれ、住民の抗議が抑え込まれている。パキスタンはインドとの貿易停止といった対抗措置を取り、軍事的警戒も強めている。両国には状況を悪化させないよう最大限の自制を求めたい。

 2月には、ジャム・カシミール州でインド治安部隊の40人が死亡するテロが発生。両国の戦闘機が交戦する事態になった。今回のインドの行動は緊張を一層高めてしまった。

 国連安全保障理事会は緊急会合を開いたが、各国の立場が異なり結論を出せなかった。パキスタンは国際社会に仲裁を求めるが、インドは「内政問題」として拒否している。カシミール地方の一部の領有権を主張する中国もインドに反発している。国際社会は、核保有3カ国が絡み世界の安全を脅かす問題と捉え、平和的解決に向け対応を急がねばならない。

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