ログイン
Myページ

愛媛新聞ONLINE

2017
1213日()

ログイン
Myページ
MENU

社説

相次ぐ北朝鮮船漂着 漁場保全と警備に万全を尽くせ

2017年12月12日(火)(愛媛新聞)

 北朝鮮からの木造船が日本海沿岸に相次いで漂着している。その多くが日本の排他的経済水域(EEZ)で違法操業した漁船とみられ、北海道の無人島では窃盗事件も発生した。漁場保全や沿岸住民の不安解消へ、海上保安部や警察は万全の対策を取らなければならない。

 日本海沿岸への漂流・漂着は近年、年40件以上ある。今年は10月まで月5件以下だったが、11月は荒天に木造船が耐えられなかったためか、過去最多の28件に急増した。

 北朝鮮船は、石川県・能登半島の北西約250㌔沖にあるイカやカニの好漁場「大和堆」に集中している。北朝鮮は外貨獲得のため近海の漁業権を中国に売却しており、遠洋に出ざるを得ないからだ。だが、大和堆は日本のEEZ内で、操業は違法だ。海保の巡視船や水産庁の取締船が出動しても、漁船は数百隻規模で押し寄せ対応し切れていない。7月には、取締船が小銃を向けられ追尾された。乱獲で資源枯渇が心配される他、日本の漁船は事故の危険があるため漁場に入れなくなっている。巡視態勢を早急に一層強化し、外交ルートも通じ北朝鮮に違法操業をやめさせねばならない。

 北朝鮮は金正恩朝鮮労働党委員長の指示の下、国策として漁業に力を入れている。国際社会の経済制裁が強まり、食糧不足が続く中、農業と比べ漁業は人員を投入すれば成果が出やすいとされるからだ。海が荒れる冬場も「冬季漁獲戦闘」として出漁日を増やし、党が設定する漁獲量目標の達成を求めている。だが、船は老朽化し設備も貧弱なため、冬の日本海では難破や転覆をしやすいという。国民を危険にさらし命をないがしろにする政策であり、他国では考えられない。

 日本国民には治安の不安も大きい。軍所属とみられる北朝鮮船の乗員が北海道の松前小島で発電機を盗んだとして、北海道警は窃盗の疑いで3人を逮捕したが、当初は警察、海保双方が捜査に消極的と映った。法と証拠に基づき対応することが、法治国家の基本だ。北朝鮮は多くの軍人が漁業に従事しているとされ、住民には「工作員が潜り込むのではないか」との懸念もある。万一を想定した警備態勢を取ることが必要だ。

 日本は海岸線が長く離島も多いため、外国船の違法操業対策には困難が伴う。2014年には小笠原諸島や伊豆諸島の周辺で、最大200隻を超える中国漁船によるアカサンゴ密漁が深刻化。警戒の初動が遅れ、漁場も荒らされた。日本海での違法操業の被害を食い止めるため、当時の「失敗」を検証し生かさなければならない。

 政府の最大の責務は、国民の生命と財産を守ることだ。北朝鮮船や乗組員の動きは、既に財産を侵害し、生命を危機に陥れている。関係機関には責任を押し付け合うのではなく連携し、新規立法も視野に抜本的な対策を取るよう求めたい。

過去の社説一覧へ

※社説・地軸は、未ログインの方は当日分、アクリートくらぶWEB会員は7日分、読者会員は制限なしでご覧いただけます。

<プレスリリース>一覧

愛媛の主要ニュース

トップ10ニュース

愛媛の情報なら、愛媛新聞のアプリ。

欲しい情報をいつでもあなたにお届け!プッシュ通知機能も充実。