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社説

受動喫煙防止 健康被害を直視し対策の強化を

2017年1月17日(火)(愛媛新聞)

 政府が、2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙の防止対策の強化に、ようやく動きだした。

 厚生労働省がまとめた対策案は、官公庁や社会福祉、運動施設の屋内禁煙を義務付け、違反した場合は施設管理者と喫煙者に罰則を科すのが柱だ。厚労省は通常国会への健康増進法改正案の提出を目指すというが、人が多く集まる場所での全面禁煙を見送り、踏み込み不足の感は否めない。喫煙者減少策を含め健康被害を直視した実効性の高い対策への見直しを求めたい。

 世界保健機関(WHO)と国際オリンピック委員会は10年から「たばこのない五輪」を推進し、屋内全面禁煙を実施する国での開催が慣例になっている。にもかかわらず日本では対策が進まず、東京五輪が3年後に迫り、先延ばしが許されなくなったというのが実情だ。既に世界49カ国が罰則を設けて公共施設などの屋内全面禁煙を法制化しており、日本も取り組みを加速させねばなるまい。

 対策案は施設の目的に応じて喫煙禁止の範囲を区分けした。問題は屋内禁煙としつつ、喫煙室設置で例外を認める場所が多いことだ。駅や空港、バスターミナルといった公共交通機関の施設や会社のオフィス、飲食店がその対象。厚労省は、利用者が施設を選べるかどうかで線引きしたと説明するが、地方では公共交通機関の選択肢は極めて限られ、実態に合わない。厚労省の「たばこ白書」は屋内の100%禁煙化を提言しており、規制強化に反対する自民党に配慮したのは想像に難くない。

 反対の理由に分煙の取り組みが進んでいることを挙げる。実際、喫煙室を設ける施設は増えてきた。だが出入りする際に煙が漏れるのを完全に防ぐのは難しい。喫煙室を清掃する人や接客に当たる従業員の受動喫煙の課題は残ったままだ。社会全体でたばこを吸わない人を守るとの視点に立ち、屋内禁煙の範囲をできるだけ広げるべきだ。

 受動喫煙が有害なのは言うまでもない。国立がん研究センターは昨年、肺がんのリスクは受動喫煙がない場合の1・3倍になると分析。厚労省は受動喫煙が原因とみられる死者は年間約1万5千人に上るとの推計を発表した。03年施行の健康増進法が公共の場での防止策を努力義務にとどめている現状について「世界最低レベル」の対策としたWHOの批判を、重く受け止めねばならない。

 受動喫煙防止には、喫煙者自体を減らす取り組みも欠かせない。WHOによると、15年の日本の喫煙人口は約2500万人で世界で7番目に多い。減少傾向にはあるが、たばこ依存から抜け出せない人も多く、禁煙外来の受診を促す施策も重要だ。喫煙が健康に及ぼす悪影響に関する知識を広く共有するため、職場や学校での教育の充実にも力を入れ、禁煙の機運を高めていく必要がある。

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