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社説

東電の再建計画 原発再稼働断念し復興に注力を

2017年3月27日(月)(愛媛新聞)

 東京電力が新たな経営再建計画の骨子を発表した。福島第1原発の事故対応費用が従来の2倍の22兆円に膨らんで、現行計画の改定を迫られたためだ。しかし柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を前提にするなど、結局は「原発頼み」の姿勢は変わっていない。本気で福島の再生に向き合おうとしない東電に失望を禁じ得ない。

 地元の米山隆一新潟県知事は「(原発事故の)検証なしに再稼働の議論は始められない」とし、先行きは見通せない。さらに原子力規制委員会の審査で、東電は免震重要棟の耐震不足を把握しながら、ほとんどの揺れに耐えられると事実と異なる説明を続けていたことが発覚。住民の信頼を損ねる行為である。こうした現状を鑑みれば、地元の理解を得るのは困難で、計画は根底から崩れよう。

 そもそも計画の目的は、原発の事故処理と福島の復興を確実に進めることにあるはず。だが経済産業省の有識者会合の提言をなぞった計画は、東電の存続のために収益向上と負担軽減に軸足を移した感が否めない。その収益向上策も「海外の送配電事業者の買収」といった空虚な言葉が並ぶ。計画には説得力も具体性もなく、画餅に終わることを危惧する。

 送配電や原発事業については他電力会社との再編・統合を計画の柱に据える。他社と共同事業体を設立し、収支を改善する狙いがある。事故対応費用のうち、東電が16兆円を負担し、年5000億円を稼ぐ必要があるためだ。しかし多額の負債を抱える東電との提携に前向きな相手は見当たらない。他社は国の思惑次第で追加の費用負担を求められかねないとの警戒感を強めており、見通しは厳しい。

 思惑通りに進まなければ、東電が公的支援を頼り、国民にツケを回す懸念が強く募る。将来に禍根を残しかねない、甘い計画の見直しを求めたい。

 一方で国は、国民への負担転嫁を進めようとしている。事故対応費用は東電が負担するとの原則を曲げ、費用を新電力を含め広く電気料金に上乗せする方針だ。大手優遇策であり、電力自由化の流れにも反する。今後さらに福島第1原発で溶け落ちた核燃料を取り出す作業が具体化していけば、廃炉費用はさらに増えかねず、際限なく負担を強いられる恐れがある。一方的に国民に事故の肩代わりをさせることは許されず、まずは原発偏重の「国策」の誤りを認めた上で、事故の収束作業を主導するべきだ。

 東電は、自らが甚大な事故を起こしながら、原発事業の温存をもくろんでいる。国民の原発に対する不安は根強く、再稼働を断念しなければ、再建も国民の理解も望めまい。資産売却や経費削減に徹底して取り組んだ後に、費用の不足分をどう補うかを開かれた場で議論し、丁寧に説明する必要がある。原発に頼らない経営への転換を急ぎ、復興に注力せねばならない。

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