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社説

白鵬引退 大横綱が残した功績と問いかけ

2021年9月28日(火)(愛媛新聞)

 モンゴルから来日したとき体重62キロだった少年が、これほどの大横綱になるとはだれも想像しなかったろう。史上最多の優勝45回をはじめ、大相撲で数々の歴史的記録を打ち立てた白鵬が引退の意向を固めた。

 

 近年はけがなどで休場が増えていた。6場所連続休場明けの7月の名古屋場所で復活の全勝優勝を果たしたが、おととい千秋楽を迎えた秋場所は、所属する宮城野部屋で新型コロナウイルス感染者が出て再び全休。右膝の回復の遅れからそのまま引退を迫られたのは残念だ。

 

 一方、強さにもまして地道な精進で大成した点ではお手本といえる。窮地に陥った角界をけん引した存在の大きさも計り知れない。功績をたたえたい。

 

 通算1187勝、幕内1093勝、横綱在位84場所、年間最多勝10回、2度の年間86勝…。前人未到の記録が傑出ぶりを物語る。63連勝し、昭和の大横綱双葉山にあと六つまで迫ったのも鮮明に記憶される。

 

 それらを支えたのは稽古に臨む厳しい態度である。朝稽古では四股に1時間も費やしたという。基本を大事にし続けた姿勢は後進も見習うべき点だ。

 

 朝青龍の引退から日馬富士の昇進までの2年半余り、一人横綱としての活躍も特筆される。この間、角界で八百長問題が発覚して2011年3月の春場所が中止となるなど汚点を残したが、5月の技量審査場所で7連覇を達成、屋台骨を支えた。

 

 物議を醸す場面がたびたびあったのも事実だ。

 

 15年の初場所では審判部の判定を批判し、謝罪に追い込まれた。優勝インタビューで観客と万歳三唱や三本締めをして注意や処分を受けたこともある。

 

 土俵上では年齢とともに立ち合いの変化や張り手、かち上げが目立った。また、相次ぐ休場に横綱審議委員会が昨年11月、「注意」を決議した。

 

 横綱には最高位に見合う振る舞いが要求される。その点、白鵬自身の意識はもちろんだが、番付社会の角界で破格の強さの横綱に日本相撲協会や部屋が遠慮せず指導できていたか。

 

 もはや外国出身力士は当たり前の存在だ。秋場所では幕内で10人を数えた。日本社会の縮図だろう。伝統を尊重しつつ多様な文化を理解し、共生する。そんな視点が欠かせない。

 

 けがからも考えさせられた。力士は伝統文化の担い手であると同時に、スポーツ選手でもある。けがを押して土俵に上がる姿は胸を打つが、万全の状態でのパフォーマンスもまたファンが求める姿に違いない。無理をして力士生命を縮めた貴乃花や稀勢の里の例もある。

 

 秋場所では横綱初土俵の照ノ富士が見事優勝した。協会としては白鵬が引退しても横綱不在を避けられたとはいえ、世代交代を担う力士の登場は急務だ。コロナ下での場所開催になお制約が予想されるなかで、最大の看板を失い、人気の維持・向上策が改めて求められる。

 

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