ゆうびんの父(264) 梁山泊(13) なお日本の鉄道事業について言えば、「鉄道憶測」提出から約二年半後、明治五年(一八七二…… 2023年12月1日 ゆうびんの父(263) 梁山泊(12) 大隈は冊子を閉じ、顔の横でばさばさと振って、「そうだ、そうだ。我輩はこれがほしかった…… 2023年11月30日 ゆうびんの父(262) 梁山泊(11) 半月後、四月十二日。 密はふたたび民部省の大隈の部屋をおとずれて、「これを」 一冊の…… 2023年11月29日 ゆうびんの父(261) 梁山泊(10) 密は思わず、「伊藤さんが適任では」 と言おうとした。 がしかし、口をつぐんだ。大隈が…… 2023年11月28日 ゆうびんの父(260) 梁山泊(9)「鉄道?」 密が小首をかしげると、大隈はつづけた。 いわく、日本にはまだ鉄道がない。これ…… 2023年11月27日 ゆうびんの父(259) 梁山泊(8) ただ大隈重信という人のおもしろいのはここからで、苦い顔のまま、「そういうしだいで、我輩…… 2023年11月26日 ゆうびんの父(258) 梁山泊(7) 密は、進んで発言するようになった。 黙っていては損。そう思ったのだ。もっとも、梁山泊と…… 2023年11月25日 ゆうびんの父(257) 梁山泊(6) たとえば渋沢が、「やはり税の徴収は、米納をやめて金納にしなければ」 と言いだすと、みん…… 2023年11月24日 ゆうびんの父(256) 梁山泊(5) 密は少し安心して、「それでは私は、あしたから、毎朝この部屋へ来ればいいのですな」 と言…… 2023年11月23日 ゆうびんの父(255) 梁山泊(4) どうやらこの改正掛という組織、(風通しが、いい) 密は、だんだん気分が乗って来たが、し…… 2023年11月22日 ゆうびんの父(254) 梁山泊(3) 春秋の筆法を以てすれば、大隈は、いわば密の培社を種として早稲田大学の大輪の花を咲かせる…… 2023年11月21日 ゆうびんの父(253) 梁山泊(2) 薩長土肥とはこの場合、要するに主流派ということである。政府内の重要な官職を占めているの…… 2023年11月20日 ゆうびんの父(252) 梁山泊(1) 徳川家達への挨拶をすませて駿府城を出ると、密は、そのまま馬を乗り継いで東京入りした。 …… 2023年11月19日 ゆうびんの父(251) 東京(16) 房五郎は数日後、駿府へ行き、勝海舟に内意を伝えた。海舟は手を打ってよろこんで、東京へ行…… 2023年11月18日 ゆうびんの父(250) 東京(15) なかはおなじ手ぬぐいで、こんどは赤ん坊のひたいを拭いはじめた。その慣れた手つきを眺めな…… 2023年11月17日 ゆうびんの父(249) 東京(14)「…………」 房五郎が黙ってしまうと、なかは真剣な顔のまま、「私は、あなたに出仕してほし…… 2023年11月16日 ゆうびんの父(248) 東京(13) 房五郎は、話をつづけた。 ふりかえれば、自分の人生は失敗だった。ほかの誰でもない自分自…… 2023年11月15日 ゆうびんの父(247) 東京(12) なかは、黙ってしまった。房五郎は、「私は、徳川を選んだ」 また息を吐いて、さくらえびを…… 2023年11月14日 ゆうびんの父(246) 東京(11)「うん。帰る」 勝がうなずくのへ、房五郎は、「そんな。もう少し。いま酒の用意を……」「あ…… 2023年11月12日 ゆうびんの父(245) 東京(10)「なーに、そんなに堅く考えなさんな。奥方といっしょに身ひとつで東京へ来てくれりゃあいい」…… 2023年11月11日 ゆうびんの父(244) 東京(9) なかが台所へ引っ込んでしまうと、勝は正座したまま、「まったく、いやンなっちゃうよ。駿府に…… 2023年11月10日 ゆうびんの父(243) 東京(8) 歩きながら、房五郎は、(わが人生、これまで) そう思うほかなかった。日本が今後どうなろう…… 2023年11月9日 ゆうびんの父(242) 東京(7)(やれやれ) 房五郎はため息をつき、割って入ろうとしたけれども、そのとき栗原が、空に向かっ…… 2023年11月8日 ゆうびんの父(241) 東京(6) ところで、中泉奉行の役人のなかに、島東惣五郎という者がいた。 年は五十六、性格は温厚、字…… 2023年11月7日 ゆうびんの父(240) 東京(5) 中泉奉行への就任は、明治二年(一八六九)三月である。房五郎は、(俺が、奉行か) 苦笑した…… 2023年11月6日 ゆうびんの父(239) 東京(4) 徳川慶喜は開城の二日前に江戸城を出て寛永寺へ退いていたが、それ以前に、すでにして徳川家当…… 2023年11月5日 ゆうびんの父(238) 東京(3) 五稜郭の敗報を耳にして、房五郎は、「そうか」 不思議な感慨があった。 房五郎は、かつてそ…… 2023年11月4日 ゆうびんの父(237) 東京(2) もっとも、内戦そのものは終わらなかった。 むしろ激化した。江戸開城を不服とする旧幕臣ら約…… 2023年11月3日 ゆうびんの父(236) 東京(1) 江戸では、結局、城攻めは起こらなかった。 薩長側と旧幕側が協議の末、明け渡しを決めた。い…… 2023年11月2日 ゆうびんの父(235) 維新(13) 房五郎は、人脈を駆使することにした。築地軍艦操練所のころの知り合いを二、三あたって、横…… 2023年11月1日 1 2 3 4 5 次へ